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WHOにも認められた精神疾患「ゲーム障害」ってどんな症状?

28年ぶりに改訂されたという「国際版疾病分類(ICD-11)」。その中へ新たに追加された精神疾患が「ゲーム障害」です。日本でも、その疑いがある人が多いと言われる「ネット依存」ですが、一体どのような状態を「病気」と診断するのでしょうか? 今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、その内容を会話形式でわかりやすく解説しています。

ゲーム障害

ゲーム障害」という言葉がある。正直なところ、いら立った親たちが作り出した造語のように聞こえるが、堂々巡りの議論の末、この用語は世界保健機構WHOによって認定され、精神疾患として、国際疾病分類の最新版に加えられたようだ。国際版疾病分類(ICD-11)は、28年ぶりの改訂らしい。

 

新米 「また、秋が来ましたから、うちの事務所も健康診断の季節ですね~」

大塚T 「そうやね。私の担当のB社さんは、ストレスチェックの時季でもあるわぁ。準備しないと…」

新米 「メンタルヘルスといえば、精神疾患の中でも『ゲーム障害』っていうのが正式に病気として認定されたとか…?」

大塚T 「あ、知ってるぅ!世界保健機関(WHO)が精神疾患として認定したんでしょ?」

新米 「そうみたいですね!オンラインゲームやテレビゲームに没頭して、生活や健康に支障をきたす状態を『ゲーム障害』というそうなんです」

E子 「厚労省のホームページにも書いてあったわ。『6月18日(月)ジュネーブ時間12時(日本時間18日19時)、世界保健機関(WHO)が、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)を公表しましたので、お知らせします』って。国際疾病分類ICDっていうと、WHOがすべての病気や怪我を分類するために作ったもので、それに基づいて日本でも行政の疾病や死亡の分類が行われるそうよ。つまり世界標準で使われる公式の病名リストってことね」

大塚T 「現在使われているのは1990年に改訂された第10版(ICD-10)で、ICD-11は今回、28年振りの改訂となるそうですよ」

新米 「へぇ~、およそ30年ぶりですね。10版は、俺の生まれる前?」

E子 「この公表を受け、加盟国は、分類の翻訳など自国での適用へ向けた準備を開始することになって、2019年5月世界保健総会へ提出される予定だそうよ。今後、日本も適用に向けた検討をしていくんでしょうね」

新米 「ゲーム障害かぁ。もっと正確な定義って何なんでしょう?」

大塚T 「そうねぇ、主な特徴、兆候としては、

  1. ゲームをする頻度や時間のコントロールができない。ゲームをすることへの抑止力の欠如(開始、頻度、熱中度、継続時間、終了、環境、など)
  2. 日常生活上でゲームを最優先する。
  3. 悪影響が出ているにもかかわらず、ゲームを続けたり、エスカレートする

こうした行動が12ヵ月続く場合は、ゲーム障害と診断される可能性が大ですって」

新米 「12ヵ月ですか。ゲーム障害になると、どんな症状が出てくるんでしょう?」

大塚T 「あんた、自分で調べなさいよ。睡眠不足でしょ、目の障害や、腰痛手首の腱鞘炎肥満など。引きこもりの状態になったり、家庭内暴力等の問題が起こったりするときもあるそうよ。そして、うつ病自殺のリスクも高まる…」

E子 「うーん、自殺…。そういったメンタルの問題も出てくるのよね~」

新米 「そういえば、死亡した例を聞いたことありますぅ」

大塚T 「え?もう現実にもあるの?」

新米 「韓国では、ネットカフェ(韓国では「PC房」)で86時間オンラインゲームを続け、エコノミー症候群になり、血栓症で死亡したそうです(2002年10月8日)」

大塚T 「随分前からの話ね。86時間もじっとしていりゃ、エコノミー症候群も有り得るわね~。地震で新幹線に3時間閉じ込められた時でさえ、エコノミー症候群に注意!って言われたわ」

新米 「その事件をきっかけに韓国では、16歳未満の青少年に対して、オンラインゲームで遊ぶ時間を制限する制度ができたそうですよ」

大塚T 「へぇ、割と詳しいじゃん。日本では、どうなのかしら?」

E子 「日本では、厚生労働省の調査によると、成人約421万人、中高生約52万人がオンラインゲームなどネット依存の疑いがあると推計されているそうよ」

新米 「ネット依存って怖いですね~」

大塚T 「日本では、現在、ネット依存やゲーム障害について相談できる医療機関が、まだまだ少ないでしょうね」

E子 「うーん。でしょうねー。今後、専門機関は、これからもっとゲーム障害の実態を把握して、治療法の改善や対応策を検討する必要が出てくるわね」

新米 「WHOがゲーム障害を認定したってことは、国際的に病気だって認めたっていうことなんですよね?」

大塚T 「そういうことよね。健康保険や診断書でもそういう病名が出てくることになるんでしょうね」

E子 「ゲーム障害の症状は、WHOのICD-10ですでに精神障害の1つに含まれていた『病的賭博(ギャンブル障害)』(いわゆるギャンブル依存症)の親戚のような概念、共通点があるんだって」

新米 「ギャンブル依存症! 日本にもカジノができるとかできないとか言われてますよね…」

大塚T 「まるで依存症のようにある種の行動に熱中しすぎてしまい生活が破綻するという点では同じですね」

E子 「アメリカ精神医学会によれば、ギャンプル障害は、

  1. 興奮を得るため掛け金の額を増やす
  2. 賭博を止めると落ち着かなくなる
  3. 賭博を制限する努力を繰り返し、成功しない
  4. 賭博を絶えず考えている
  5. 苦痛の気分のときに賭博をすることが多い
  6. 賭博で失った金を深追いする
  7. 賭博を隠すため嘘をつく
  8. 賭博のために、重要な人間関係、仕事、教育、または職業上の機会を危険にさらしたり失ったりしたことがある
  9. 賭博のため他人に金をせびる

のうち4症状を12ヵ月以内に示した場合、と定義されているんだって」

新米大塚「へぇ~」

 

国際疾病分類(ICD)とは(厚労省HPから)

国際疾病分類とは、

国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が公表されました

image by: Shutterstock.com

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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