GINZA SIXは不動産業方式にシフト
17年4月にJフロントが開業した商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」も脱百貨店の象徴といえるでしょう。従来の百貨店の多くが採用している「消化仕入れ」と呼ばれる取引形態から、入居しているテナントから賃料を受け取る不動産業方式にシフトし脱百貨店を図りました。
Jフロントが不動産事業に力を入れ出したのはここ1、2年のことですが、同事業の業績は好調です。18年3月期の売上高は前年比2.7倍の134億円、営業利益は同11.9倍の41億円でした。同社によると、ギンザシックスの営業利益は26億円だったといいます。また、同事業の不動産売却益を除いた実質的な営業利益は26億円だったとしています。
不動産事業の実質的な営業利益を26億円とした場合、全体に占める割合は5%にもなります。力を入れ出したのがここ1、2年であることを考えると上々といえるでしょう。また、売上高の割合が3%にも満たないことを考えると、不動産事業の利益面での貢献の大きさのほどがよくわかります。
Jフロントは不動産事業を拡大させています。近頃、百貨店事業の店舗に入居するテナントに対して賃貸借契約への変更を呼びかけ、不動産事業への移管を進めています。また、19年秋に開業予定の渋谷パルコなど今後開業する店舗の多くが不動産事業に組み込まれるとみられています。こうしたことから、今後は不動産事業が重要なポジションを占めることになりそうです。
脱百貨店を進めるJフロントの業績は好調です。このことから、百貨店業界の未来は「脱・百貨店」がカギとなりそうです。百貨店という業態を全く無くすということには議論の余地がありそうですが、いずれにせよ、これまでの百貨店像を粉々にするぐらいの破壊的な対応が求められているといえそうです。
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