米大統領の資格なし。トランプ「トランスジェンダー認めぬ」の愚

 

あまり政治的なことを書きたくはないので、自分の専門分野で一言いわせていただけば、「生物学的に~」というフレーズには有無をも言わせぬ絶対的なイメージがありますが、染色体は実にきまぐれで、簡単に男女の二分法で分けられない多様性を持ち合わせています。

生物学的にXX=雌XY=雄しか存在しないというのは間違いで、性染色体にはXXYや、XXXYというケースが相当数存在するのです。特に「XXY」はクラインフェルター症候群と呼ばれ、男性600人に1人の割合で発生2,000人に1人という説もある)。気付かずに生活している場合もあり、実態はもっと多い可能性が高いというのが研究者の一致した意見です。

奇しくも、先の小川氏はエッセーの中で、LGBTを「性的嗜好」と表現し、「LGBTという概念について私は詳細を知らないし、ばからしくて詳細など知るつもりもない」と書いていましたが、LGBTは「性的嗜好(Sexual preference)」ではなく「性的指向Sexual orientation)」。

どちらも「セイテキシコウ」と読み方は同じですが、「性的嗜好」が人間の性的行動において、対象や目的について、その人固有の特徴ある方向性や様式であるのに対し、「性的指向」は、いずれの性別を恋愛や性愛の対象とするかを意味し、無意識に形成されます

具体的には、「異性愛」「同性愛」「両性愛」「無性愛」「非性愛」「汎性愛」などで、LGBTではなく、SOGI(Sexual Orientation、Gender Identity)という言葉が、近年注目されているのもこのためです。

英語ではpreferenceとorientationと綴りが全く違うので、間違えることはない、とは思いますが…。冒頭の原案を見る限り「言葉の意味を理解していない可能性は十分にある」と個人的には考えています。

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