中国西端にあり、イスラム教少数民族「ウイグル族」に対する弾圧などで注目されている「新疆(しんきょう)ウイグル自治区」。
国際情勢を伝えるニュースでたまにその名前を見かけるものの、その地理的位置や歴史的背景などについて、日本人のほとんどがあまりよく知らないというのが現状ではないでしょうか。
そんなウイグル族や同自治区の現状を伝えた、ある一連のツイートが話題になっています。
旅行で同自治区を訪れ、4泊5日の滞在中に見聞きしたことをTwitterに投稿したのは、Twitterユーザー「ちゅうさま」さん(@chusama1212)。
そこにUPされた写真に写る風景、そしてつぶやきに書かれた様々な情報から、日本でほとんど報道されない同自治区のリアルな現状を垣間見ることができます。百聞は一見にしかず、「ちゅうさま」さんの一連ツイート(時系列順)をさっそくご覧ください。
「少数民族の弾圧が行われている」と話題の、中国・新疆ウイグル自治区に4泊5日の旅行に行ってきた。短い滞在期間ではあったが、その中で見たものは衝撃的だった。自分の中でも事実認識を整理しきれていない部分はあるが、可能な限り写真付きでその実態を伝えていきたい。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/dk5hweWmz9
— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【街中での警備体制①】
ウイグル自治区内の市街地には、異常な数の監視カメラが設置されていた。約20mおきに最新式と思われる数種類のカメラが死角を作らないような形で置かれ、どこに居ても常に監視下にある状態になっていた。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/NbJbKPJmQ9— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【街中での警備体制②】
街中では、アサルトライフル等で武装した警官が一定間隔で立っていた。武装警官は無差別で現地民を呼び止め、IDチェックをかけていた。また、1ブロックごとに『便民警務所』が置かれ、その周囲には金網のついた公安の車両が停車して警戒していた。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/Hljo6Ib2Lg— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【街中での警備体制③】
地下鉄のみならず、商業施設やバザールなどに入る際にも手荷物検査が実施される。漢人や我々外国人はそれ以外ノーチェックだが(顔立ちで判断?)、ウイグル人はそれに加えてIDの提示と、機械による顔認証によって初めて入場が許される。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/7ecSVFcDJ6— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【宗教弾圧①】
イスラム系の宗教活動は非常に厳しく制限されていた。ウルムチのバザール内にあるモスクは「清真寺(モスク)」の看板こそ出ているものの、実態は民俗工芸品市と化しており、宗教的なものは一切排除されている。地下は外資系スーパーとなっていた。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/ksIxfyaWxE— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【宗教弾圧②】
カシュガルにおいても、宗教色のあるものは排除されていた。ほぼ全てのモスクが閉鎖され、シンボルである屋根先端の月が取り外されていた。入り口にある「神は偉大なり」との記載も、塗り潰されたり、共産党賛美のスローガンに置き換えられたりしている。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/T4si0S44Rk— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【宗教弾圧③】
ウイグル最大のモスクと言われる「エイティガール寺院」は、完全なる観光施設と化していた。寺院内部にはご多聞にもれず共産党賛美のスローガンがかかり、シールドを持った武装警官が警備に当たっていた。大量の監視カメラも設置されていた。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/ESr0wYoj3X— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【宗教弾圧④】
一応、決まった時間になると「礼拝時間」として観光客の入場を制限している。しかし、アザン(祈りの導入)が流れることも、信者らしき人が寺院に入っていくこともなかった。寺院の前の広場では、どこか浮かない表情のお爺さんたちが寺院を眺めていた。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/qjQdSHKhMt— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【宗教弾圧⑤】
カシュガル老城内のイスラム学校。看板こそ残っているが閉鎖されており、中は荒れ放題となっていた。壁には最新鋭の監視カメラが取り付けられていた。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/lNSxfoepol— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【文化侵略①】
イスラム文化を除いたカシュガルの土着文化については、むしろ積極的に利用したがっている様子。シルクロードの中継地としてのかつての街並みを再現し、「カシュガル老城」として観光地化を図っている。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/EhBJ2Mf35U— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【文化侵略②】
一方で、横にある600年の歴史があるという旧市街の「高台民居風景区」は取り壊し中。見学しやすいように建て直すらしい。ザル警備だったので“うっかり”入ってしまったが、文化遺産レベルのものを破壊して観光施設化するとは…。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/F8uQkK7J7A— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【言語弾圧】
交通機関では漢語とウイグル語が併記され、バスや地下鉄でも両言語の車内放送がある。現在のところでは、ウイグル語の新聞も発行されている。警官を含むウイグル人同士の会話はウイグル語で行われており、生活レベルでの言語弾圧はないように感じた。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/7gHBoxUrRE— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【ウイグル人の生活①】
市街地においてウイグル人が経営する店舗は、ほとんどが中国国旗を掲げていた。こうして国家への忠誠をアピールすることで、かろうじて生活を続けていけるのかも知れない。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/RCbNfQ03ab— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【ウイグル人の生活②】
理由は不明だが、カシュガルでは多くのウイグル人の店舗には鉄格子が付いていた。漢人経営や外資系の店舗では鉄格子は見られなかった。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/5zHDjPomcF— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
【ウイグル人の生活③】
自由が制限されているとはいえ、そのなかでもウイグル人は日常を過ごしている。こうして写真として切り取れば、それはのどかなシルクロードのオアシスそのものだ。彼らは見ず知らずの外国人である自分にも暖かく接してくれた。#新疆ウイグル自治区 #中国 pic.twitter.com/Mjm28bRSok— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
ウイグル自治区は本当にいい場所ではあるので、みんな行こうね! pic.twitter.com/egSIdMrcAL
— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
中国語はまともに勉強したことないし、ウイグル語も「こんにちは」と「ありがとう」くらいしか知らんがどうにか過ごせたで
麻雀で中国語の数字を知ってたのは大きかったかも
— ちゅうさま🇺🇿 (@chusama1212) 2018年11月4日
私たちがまったく知らないウイグルの「衝撃的な日常風景」、いかがでしたでしょうか。
形だけになった「イスラム教」の施設や、厳重な警備体制と監視、そして中国(共産党)を賛美するスローガンなど、この一連ツイートには中国に実効支配されている同自治区の現状が克明に映し出されています。
香港、澳門、台湾、チベットなど、中国との間で「独立」をめぐる紛争や弾圧の歴史を刻んだ地域は他にもあります。
しかし、地理的な問題で訪問しづらい場所であるがゆえに、あまり日本へ情報が伝わりにくいウイグルの現状は、私たちに「国」「宗教」「政治」「民族」など、さまざまな問題をなげかけています。
あなたは、この「ちゅうさま」さんの貴重な旅の記録を見て何を感じましたか?
※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。
image by: Twitter-ちゅうさま(@chusama1212)