それは、日本企業が今から「中国企業と一緒になって一帯一路で金儲けしたい。でも、不安だから政府がバックアップしてね」ということですね。
一帯一路が世界中でとん挫しているから、日本がテイクオーバーしてやろう、というのではなくて、中国企業の下請けになって金を稼ごうと。決済は元だから、万が一元が底をついたら日銀から供給してもらうというわけです。
日銀は元の調達のために、中国の通貨当局に円を差し出しますから、実質的には米ドルを供給するのと同じです。最高3兆4,000億円といえば、やっと停止することになった40年間にわたる対中ODAに匹敵する金額です。
トランプ政権が「今潰さないとやられる」とダメージ覚悟で中国との貿易戦争を開始し、世界中で一帯一路の帝国主義的性格が明らかになって非難が沸き起こっている最中に日本がこんなことをするから、当然世界を驚かせました。
しかし、中西経団連会長以下500人あまりの経済人が安倍首相に同行して新たな商談を結ぶことに嬉々としていました。中華帝国の再興で日本が一番危ない位置にいることなど、まったく関知していないのが明らかでした。
そして今度は韓国。
新日鉄住金に続いて三菱重工敗訴の知らせが流れたとき、経団連は韓国の経済団体である「全経連」とソウルで共同の講演会を開催していました。
講演会後、経団連の中西宏明会長は次のように述べました。
「政治とか文化交流が停滞すると、長い目で見ると経済にとっても良くない」
「実際、どういう形でこれ(徴用工裁判)がフィードバックされるのかわからないし、ただ日本側から見ると、ちょっと驚く内容なので、何とか悪影響が出ないようにお願いするしかない」
経団連に加盟している企業が高額の賠償金を不当に請求される事態に、いったい何を言っているのか、意味不明です。
「悪影響が出ないようにお願いするしかない」って、誰にお願いするのでしょうか?まるで他人事ですね。
この姿を見て、「歴代経団連会長でEメールを使えるのは中西会長が初めて」というニュースを思い出すと共に、相変わらず、国家観も歴史観も世界情勢の把握も無関係に目先の商売だけを考えているんだなあ、と痛感しました。
つまりは、元気がなくても、エコノミックアニマルだということです。それも随分と落ちぶれたものです。