米津玄師「Lemon」に英語は1つだけ?現役アナに学ぶ話し方の極意

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「話し方の極意」「日本語での表現力向上」を追求するメルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』の著者で現役アナウンサーの熊谷章洋さんは、昨年暮れのNHK紅白歌合戦を見ていて、最近人気の歌詞には英語がほとんど使われていないことに衝撃を受けたと言います。さらに、その理由を考え、「話し方」というジャンルに通じる大切な要素を再確認したそうです。熊谷さんが考える「相手に伝える」ため、そして「言語生活」を洗練させるために必要なこととは?

暮れの紅白歌合戦は、ご覧になりましたか?

紅白という番組については、好き嫌い、賛否両論の意見があるでしょうし、テレビ自体見ない、という人も多くなってきていますから、もはや、「みんなが見て知っているはずの紅白」という語り方はできないのですが、私はこの番組を、人類普遍の娯楽であり、巨大な産業のひとつとしての音楽というジャンルにおいて、その年の日本の音楽界で重要な位置を占めたと思われる歌い手を、性質を問わず一堂に集め、性質が違うものでも、より多くの人が楽しめるよう、最大公約数的な演出を巨額の予算で具現化させる、1年で最大のテレビショーだと位置づけており、そんな無料コンテンツを見ない手はない、と考えています。

ですから、出演者が気に入ろうがいまいが、演出が臭かろうが、予定調和的であろうと関係なく、毎年必ず見るようにしています。

2018年の紅白歌合戦を見ていて衝撃を受けた事実

さて、前置きが長くなりましたが(書き言葉だからこそ許される、長ったらしい説明でしたね…)、2018年末の紅白歌合戦を見ていて衝撃を受けた事実がありましたので、お伝えしたいなと思います。

その衝撃の事実とは、「最近人気の歌の歌詞には、英語がほとんど入らない」ということです。

演歌に英語が乗りにくいのはもちろんなのですが、ここで言う最近人気の歌とは、具体的には、星野源とか、米津玄師とか、あいみょんなど、若者に受け入れられている歌手、少なくとも去年、大いにウケた歌手ということです。

例えば、星野源「アイデア」という曲を歌いましたが、この曲に含まれた英語は、「アイデア」「モノラルのメロディ」「ダンスフロア」だけ。英語といってもすべて、一聴でピンとくるレベルに日本語化した単語ですね。

さらに米津玄師の「Lemon」に至っては、タイトルの「レモン」、これひとつだけ! サザンオールスターズが最後に歌った古い楽曲のほうに、むしろ多くの英語のフレーズが含まれていました。

世の中全体が回帰傾向になっていることは、よく報道されていますが、音楽という一大産業においても、然り。「聞く人の心に、言葉がしっかり響くこと」が重要になっていることを実感します。もしかしたらこれは、ひとつの消費の傾向かもしれません。

つまり、ゲームや動画配信、SNSなど、競合するエンタメ・コンテンツが増えるなかにあっては、本当に必要なもの、心に「刺さる」ものしか、代金を支払って購入する価値を見いだせない。調子を出したり、かっこよく体裁を整えるだけの英語の歌詞は、無駄になってきている、のかもしれません。

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