道路空間をすべて人に開放する「歩行者天国」という大成功モデルがある。人はこういう賑わいが好きだ。また、車道を削って歩道を広げて人を呼び込んだ、京都の四条通りも経済活性化に貢献した大成功モデルだ。地方都市でも一等地からの「クルマの締め出し」が大きな効果を上げている。好例が富山市である。そのレポートの説得力といったら。地方行政関係者たちよ、直ちにここを読め。
つまり「クルマ化社会(人々のクルマ依存)」は「郊外化(中心部のシャッター街化)」を深刻化させる。郊外化した街では人々のクルマ依存度が高くなり、地方都市のバスや電車などの公共交通が弱体化する。地方都市の魅力も仕事も減り、人はどんどん流出し、地域の経済、社会、行政の弱体化に拍車をかける。
いま、モータリゼーション、都市の郊外化、地方の衰退、グローバリゼーションの浸透という、最悪のスパイラルが四位一体で展開している。この本は「地方衰退の根源であるクルマを捨てよ」という大胆な発議である。過激な言い方ではあるが、絶対に正しいコンセプトだ。本文中の大事なところはゴチック体で強調している。理論は明解である。そうだ、国家プロジェクト、しよう。
編集長 柴田忠男
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