池田教授が期待する、腸内フローラ研究で病気改善が可能な未来

 

それで分かってきたことは、下痢になる前までは普通の体型だった患者が特定のドナーから糞便を貰って投与し続けていると、肥満体型になった事例が散見されるようになったことだ。その逆の事例もあり、ドナーが肥満体型だとレシピエントも肥満になり、ドナーが痩せ体型だとレシピエントも痩せになるようだ。どうやら腸内の細菌フローラはホストの体型を左右するらしい。最近日本で流行っているデブ菌とか痩せ菌の話はここからきている。

腸内フローラは脳にも影響を与えて鬱病とも関係しているらしいことが分かってきた。最近、Nature Microbiologyに掲載された論文によると、ベルギーで約1000人が参加した鬱およびQOL(生活の質)と腸内フローラの関連を調べたプロジェクトの研究によれば、CoprococcusとDialisterという2つのグループの細菌が鬱病の人で減少していることが分かった。どうやらこれらの細菌叢がセロトニン、GABA,ドーパミンなどの神経活性物質の生産に関与しているらしい。

腸内フローラが我々の健康や精神的な活動に関連しているならば、将来的には腸内フローラ内の善玉菌を上手に増やす方法が開発されれば、大げさな治療を行わなくても、様々な病気を改善することができるようになるかもしれない。いずれにしても、我々の体は腸内フローラに操られていることは確かなようである。

image by: Kateryna Kon, shutterstock.com

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