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温暖化も貧困国の飢餓も過度な肉食が招く?畜産の不都合な真実

「加工肉は確実な発がん物質」、「健康を害しないフライドポテトの数は6個」など、最新の医学研究を元に、さまざまな警鐘や提言を行うメルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田先生です。今回は、フライドチキンなどの揚げものに関する気になる研究を紹介。そして、肉食の危険性について言及し、肉食を維持するために隠されている「畜産の不都合な真実」を明らかにしています。

明らかになった揚げものの危険性

最近発表された研究結果によると、フライドチキンをよく食べる人はがんにかかりやすく、若くして死亡しやすいことがわかりました。揚げものの衣にはさまざまな物質が混入しますので、衣が原因かもしれません。フライドチキンを食べるときには、できれば衣を食べるのは避けることをお勧めします。

しかし、チキンも食べすぎはよくありません。糖分が少ないためにダイエットには向いていますが、動物性脂肪を多く含んでいます。動物性脂肪は飽和脂肪ですので、摂りすぎると動脈硬化を加速させます。

食事でお肉を摂りたい方には魚介類の肉をお勧めします。魚の油は特別なオメガ3脂肪酸です。しかし、オメガ3脂肪酸をサプリとして服用しても健康的な効果はほとんど得られないことが判明しています。魚のまま食べると効果が得られるのですが、ここでもやはりフライは禁物です。揚げた魚ではなく、お刺身がよいでしょう。

魚介類を摂れないときには、大豆などの豆類がオススメです。健康的なタンパク源として大豆はベストです。沖縄でのランチタイム外食でオススメは豆腐チャンプルーです。ご飯は小盛り一膳までとしましょう。あるいは、ご飯は抜きでも良いと思います。また、豚肉などの赤身の肉は入れないようにオーダーしましょう。特にスパムは厳禁です。豆腐と野菜が豊富なチャンプルーはとても健康的なのです。

飲酒後のステーキは危ない

鶏の肉より健康に悪影響を及ぼすのは赤身の肉です。赤身の肉とは哺乳類の肉です。代表的なのは牛肉と豚肉です。赤身の肉をよく食べているといる人は、がんにかかりやすくなります。特に大腸がん、膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、乳がん、前立腺がんなどです。

欧米型食生活が世界に広がっているために赤身の肉の消費が急速に増えています。日本でもステーキの摂取がブームです。いきなりステーキや、やっぱりステーキなどのフランチャイズのお店が人気を博しています。いきなりステーキはニューヨークなどにも進出しています。また、沖縄の外国人観光客にもステーキは人気です。世界中の人々がステーキを食べるようになりました。

沖縄ではお酒を飲んだ後にステーキで閉めるスタイルが最近人気です。ラーメンよりは糖質が少ないため体重を気にする人には良いかもしれませんが、アルコールと牛肉は両方とも発がん物質なのでがんになりやすくなります。特に、タバコを吸いながらお酒を飲み、その後ステーキを食べるのはがんになる生活習慣なのです。

畜産による温暖化~畜産の不都合な真実

地球温暖化で世界の人々の健康状態は悪化しています。夏の熱中症で多くの人々が死亡しています。豪雨や台風などからの攻撃による氾濫や洪水、土砂崩れなどの災害で多数の人々が死亡しています。生態系の変化により蚊やマダニなどが増え、これらによる感染症が増えています。デング熱やリケッチア症などです。また、低所得国では飢饉で死亡しています。

実は、地球温暖化で見逃されている一大要因に畜産があります。人間に起因するメタン排出のうち約40%は家畜から発生しているのです。メタンガスにはCO2の21倍の強力な温暖化効果があります。牛などの消化器からのメタン発酵や糞尿管理によって、1億トン以上のメタンが家畜から排出されています。これはCO2換算値で約24億トンに匹敵します。家畜、特に牛から排出されるメタンガスは一日に200リットルにもなります。これはゲップとしてです。たかが牛のゲップですが、不都合なゲップです。

家畜を飼育するためには人間の約10倍の餌が必要です。肉1kgを生産するには飼料用穀物が、牛肉で11kg、豚肉では7kg、鶏肉では3kg必要です。消費する水分も、1kgの小麦のために必要な水の200倍以上の水の量が、1kgの牛肉を生産するために必要です。地球上の飢餓人口は約10億人です。その多くは低所得国の人々です。高所得国や中所得国の人々が動物の肉を大量に食べている状況で、穀物は低所得国の人々には渡らず、その多くが家畜の餌となっています。世界中の人々の健康のためにも植物を中心とした食生活をお勧めします。

文献

Sun Y, et al. Association of fried food consumption with all cause, cardiovascular, and cancer mortality: prospective cohort study. BMJ. 2019 Jan 23;364:k5420.

image by: Anna Grishenko, shutterstock.com

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