外圧に押し切られた
【毎日】は1面中央付近に「竹田退任」の本記。そこから3面の解説記事「クローズアップ」と社会面に流す形。1面記事がトップであればオーソドックスなスタイルだが、そこには公立福生病院関連のスクープ(都の立ち入り検査報告内容)が収まっている。
uttiiの眼
「竹田退任」に関しては、繰り返しになるが、1面中央から3面、社会面での扱い。主な内容は3面「クローズアップ」にまとめられている。
リードに示される《毎日》の認識は、「竹田会長退任」を、飽くまで「東京五輪・パラリンピック招致を巡る疑惑」の進展として位置づけられていること。この点では「幕引き」を戒めていた《朝日》とも共通する。さらに、《毎日》の特徴は、竹田氏退任の要因を「外圧」と単純化して捉えていて、「竹田氏は一貫して潔白を主張するが、外圧に押し切られた格好だ」と言っている。ここは「内外の要因」を細かく列挙していた《朝日》と大きく違うところ。
では「外圧」とは何か。
竹田氏が退任を切り出す数時間前、政府関係者は「退任のボタンを押したのはIOC。表には決して出てこないけどね。間違いない」と語ったという。そのような発言をする政府関係者は一人ではないとも。
IOCのバッハ会長は、竹田氏をIOC委員として重用し、「推定無罪」と高を括っていたというが、捜査の進展で温情が消え、水面下で「ノー」を突きつけ始めていたとする。「若者のスポーツ離れやドーピングなどの不正で『五輪ブランド』は傷ついている」として、招致を巡る不正はリオ大会でも起きたばかりだったので、これ以上のリスクを嫌ったのだと。
「クローズアップ」の後半は、疑惑の火種について。仏当局の捜査が続く以上、招致委がカネで投票を買った疑惑はついて回る。JOCは16年9月に調査チームの報告書で「違法性なし」としたが、この調査チームには「独立性・中立性に問題がある」(第三者委員会報告格付け委員会による指摘)と言われるような代物。竹田氏が会長を辞めれば終わり、というわけにはいかないとする。