いじめ問題についても、同じように堂々巡りをして、何年も解決していない方々がいます。どうしよう、どうしようと、あれこれ考え、悩みのふちにはまってしまうと、何も進まないまま時間が過ぎ去り、学校の先生も転勤してしまうということも起きます。加害者の記憶も消えます。不登校を続けると学力が身に付かず、損をするのはわが子ばかり、というつらい状況になります。
一時の感情で学校に乗り込んでも、校長や教頭先生は静かに聞いてくれますが、答えが出ません。何度か通っているうちに、カウンセラーさんを紹介されて、定期的に話をしているだけということになります。しかも、子どもの不登校は変わりません。
お父さんに相談しようとしても、「仕事が忙しい」と会話になりません。お母さんはウツになって心療内科に通い始める、そういったご家庭は多いのではないでしょうか。
相談する側も「問題の見切り」をしなくてはなりません。「いじめを解決したい」とただ漠然と思っているだけではダメなのです。学校ができることと、できないことを見切らないといけません。より具体的に「学校が対応できること」をお願いしてみることです。
「わが子が再登校して、イジメに遭わないよう、イジメっ子とその仲間とクラスを変えてください」
「トイレで鉢合わせしないように、別の階のクラスにしてください」
「同じクラスには幼稚園時代から仲良しの〇〇さんを入れてください」
このようにお願いしてみたところ、学年が変わったとたん、イジメに遭うことは無くなり、明るく通学できるようになった、という事例もあります。
また「素早い判断力で行動し、相手方を謝罪させた」例もあります。我が子が精神的に病むまでイジメがあったのに、加害者側もその親も認めない、そのことを学校に依頼しても解決しないことを悟った、あるお母さんは、どうしても加害者側に謝罪をさせたいと思っていました。
その気持ちを汲んで応援していたところ、そのお母さんは、ある時、公園で偶然、わが子がイジメられているのを発見し、駆けつけてイジメ集団(おおかたは逃げた)の一人の子を捕まえることに成功しました。
その場ですぐにその子の保護者に電話し、来ていただき、事情を話し、ともに自家用車で素早く逃げた加害者たちの家を訪問して、それぞれ加害者側の保護者に、「この子とイジメを一緒にやっていた」、「被害者の母親も目撃した」、と証拠を突き付けたそうです。
結果は、加害者側リーダーの母親が自分の子をビンタし、その母親が土下座をして謝罪するという、被害者側のお母さんがおののくような結果となったこともあります。また、学校にも伝えたところ、あらためて子ども達に教育的指導をしていただいたということでした。
ですから、最初に述べたように、「相談したら、誰かが何とかしてくれるだろう」ではなくて、自らが主体となってできることをやろう、という気持ちが必要です。勇気を出して相談してみたら、そして頭がスッキリして、やるべきことが見えてきて、あっという間に解決できたというケースが多々あります。