天安門事件で始まった平成。令和元年も終わらない隣国の大問題

 

文化大革命後、北京師範大学で初めて博士号を取得した知識人エリートの彼は米国コロンビア大の研究員の時に帰国し、天安門事件に身を投じた。 徹底した非暴力主義を貫き、ハンガーストライキで抗議し、天安門広場で「学生諸君たちよ、キャンパスに帰ろう、命を大切にしよう、未来の民主主義を建設するために君たちはこれから重い責任がある」と訴え、人民軍との交渉で広場の無血開城を成し遂げた人物である。

事件の泥沼化を阻止した功績は、事が終われば中国側にとっては危険分子だった。その後投獄され、自由は奪われ、その発言も制限された。

関係者によると、芸術家の妻、劉霞さんはドイツで静かに暮らす。連座により中国では弟が獄中におり、声を出すことはできない。あからさまな殺戮がないにせよ、このように自由が奪われた状態に市民が追いやられることは、戦争にも似た悲劇。国家に権力を与えすぎると起こる摂理のようなものかもしれない。

天安門事件の映像は、中国の警戒心とともに、外国の目線を無視できない、という2つの行動を導き出している。天安門事件からの30周年に海外で民主化を叫ぶ中国人は少なくない。その声を隣人としてどう受け止めればよいか、平和を願う私たちの、令和元年の課題でもある。

image by: TY Lim / Shutterstock.com

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