軍事アナリストが提言。銃撃テロ抑止のために日本人がすべきこと

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ラグビーW杯や東京オリンピック・パラリンピックを控えた我が国ですが、テロへの対策は万全なのでしょうか?今年4月に『アメリカ式 銃撃テロ対策ハンドブック』を出版したメルマガ『NEWSを疑え!』の著者で軍事アナリストの小川和久さんは、日本の警察の銃器理解と取り扱い経験の不足を不安視します。DNA的と言っていいほど銃器に疎い日本人を銃撃テロから守り、また市民が自ら身を守れるように訓練の必要性を訴えています。

銃撃テロを起こさせないために

このほど、西恭之さん(静岡県立大学特任助教)との共同作業で近代消防社から『アメリカ式 銃撃テロ対策ハンドブック』を出版しました。

米国の政府機関などのハンドブック、マニュアルなどの中から、日本の国民に少しでも身近に感じてもらえそうなものを選び、翻訳したものをハンドブックの形にしたものです。

色々なところで好評を博し、それはそれで嬉しいかぎりですが、気になる点が残っています。それは、DNA的と言ってよいほど日本人が銃器を身近に考えたことがないという問題です。

それを象徴しているのが警察です。以前、ある管区の教養講座のような催しで講演したおり、参加していた警視クラスの幹部警察官200人ほどに対して、「オートマチック拳銃を見たことのある人」「オートマチック拳銃を撃ったことのある人」と質問したところ、前者は20人ほど、後者に至ってはわずか1人という結果となりました。

日本の警察が使っている拳銃の大部分は、回転式弾倉のレボルバーというタイプの拳銃です。だから、オートマチックを見たことのある幹部警察官が参加者の10パーセントほど、撃ったことのある人は0.5パーセントという結果になるのも仕方ない面があります。射撃した経験者は、おそらくオートマチックとサブマシンガンを装備しているSATなど警察の特殊部隊の関係者ではないかと思われます。

一方、自衛隊など軍事組織が使っているのは、手で握るグリップの中に箱型の弾倉を入れるオートマチックと呼ばれる半自動拳銃です。悪いことに、テロリストや外国の犯罪組織もオートマチックを使うことが多いのです。そして、テロリストなどが使うサブマシンガンもオートマチック拳銃と銃弾を共用するものが少なからずあります。

このように、テロや国際化が進む犯罪の現状を見るとき、銃器の面からして遅れていると言わざるを得ない日本の警察が、はたして適切に抑止効果を発揮し、事態が発生したときに十分に対応できるのかどうか、心もとなくなる面があるのです。

警察がこのレベルですから、私たちが出版した『アメリカ式 銃撃テロ対策ハンドブック』にしても、まず警察当局がリアリティを持って受け止めてくれるのか、そして、ハンドブックにあるような行動を市民に対して訓練してくれるのか、心配になってしまうのです。

市民が、銃撃テロや生物化学兵器テロから身を守る訓練を受けているかどうか。それは、訓練の様子がニュースで流れるほどに、テロリストに攻撃しても無駄だと思わせる点で、大きな抑止効果を生み出すのです。それを忘れてはなりません。(小川和久)

image by: vchal, shutterstock.com

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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