マスコミの経済オンチを改善しなければ、この国が確実に滅びる訳

 

問題は、この決算発表を受けて、アップルの株価がどうなったかです。結果的に、株価は時間外取引で211.50ドル、つまり5%強アップしているのです。また、その背景には、第2・四半期は1株純利益が2.46ドルで、市場予想平均の2.36ドルを上回ったということが大きく寄与しています。

では、日本の報道はどうしてネガティブなのでしょうか?それは、一種の「絶対評価」のようなものが理想とされているからです。確かに企業の決算については、株価や国の経済に大きく影響しますから、主観的にいい加減な感想を発信することは許されません。潰れそうな会社の決算を、主観的に褒めちぎって多くの株主にその企業の株を買わせるようなことがあっては、株価操作になるからです。

その点で、日本の報道は客観的です。つまり減益だから減益だとしている、それ以上でも以下でもありません。最後の文章には「不振」と書いてありますが、それも「減益」と書いた以上は、そうしないと辻褄が合わないからでしょう。

ですが、世界の経済を動かしているのはロイターのような情報です。株価というのは、市場の事前予測の合意をベースに動きます。ですから、その予想を上回る決算であったら、株は上がるのです。ロイターの情報は、少なくとも株価との整合性があります

一方で、日本式は、とにかく絶対評価ですから赤字だったら赤字、減益だったら減益という報道をします。ですが、株式投資という点では全く参考にはなりません企業経営という点でもそうです

例えば、アマゾンという会社は、今でこそクラウドなどのビジネスが寄与して、黒字体質になっていますが、長い間「万年赤字経営」の企業として有名でした。ですが、その赤字には理由があったのです。クラウドをはじめとする、巨大な投資をしたり、市場開拓をやったり、先々のことを考えて大胆な投資を先行させていたのでずっと赤字だったのです。

ですが、その間の株価は、97年ごろの2ドルから、今はほぼ2,000ドルと「約1,000倍」になっています。仮に「赤字が続いています」というだけの日本式の報道を鵜呑みにして投資していたら、絶対にこの「1,000倍」という成長の果実を共有することはできなかったわけです。

ちなみに、今回は通信社さんの報道を取り上げましたが、実は日本の通信社というのは、全国紙と同等以上の頭脳集団です。一人一人の記者は独立してジャーナリストとしても通用するレベルの人材ばかりと言っていいと思います。ですから、こうした記事が出るというのは、記者の能力ではなく、とにかくそのような「昔からの束縛」があるからだと思います。それが問題だと申し上げているのです。

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