マスコミの経済オンチを改善しなければ、この国が確実に滅びる訳

 

そもそも政府系のGPIFがどうしてグローバルな株式投資をしているのかというと、中長期的には人口減と国際競争力喪失に直面している日本経済だけに日本の将来の年金を委ねては中長期にわたって年金を支えられないからです。

仮に、20年後にドル円相場、あるいは人民元と円でもいいですが、円の価値が下がって、例えば1ドル=220円になったとします。その場合に、グローバルな株に投資していれば、株価上昇が仮にゼロでも、円建てではファンドの総額は200%になります。ですから、少なくとも国民の老後を支える年金は、日本経済衰退の影響による目減りを少なくすることができるわけです。

その代わり、GPIFにはリスクが伴います。2015年には確かにマイナス5兆円になっていますが、その後16年にはプラス8兆円、17年度にはプラス11兆円と確実に運用益を上げているのです。

もう一つ言えば、そのように順調に運用益が上がっている時には報道がされないのも問題と言えるでしょう。

とにかく、日本の経済報道は、もう少しレベルアップしないといけないと思います。経済専門の新聞や雑誌にも相当な改善が必要ですが、とにかく一般メディアの経済ニュースについて、ちゃんとしたテコ入れをしないと、例えば政治の選択における世論形成なども歪んでくるのではないかと思うのです。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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