ファーウェイ騒動を予見か。ドコモ「今夏」でチャイナリスク回避

ishikawa20190527
 

5月22日、相次いでファーウェイ新製品の発売を延期とした、国内大手キャリアとMVNO。世界的に狭まるファーウェイ包囲網を鑑みた上での判断ですが、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんによると、NTTドコモだけは「どことなくチャイナリスクを意識しているように思える」そうです。なぜ石川さんはそのように見るのでしょうか。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』にその理由が記されていました。

ファーウェイ新商品の販売延期――水面下でチャイナリスクを意識していたNTTドコモ

5月22日、2日後の発売を控えてKDDIとソフトバンク、UQモバイルがファーウェイ製品の発売延期を決めた。さすがにこの騒動の最中にキャリアブランドの製品を市場に投入するというのは困難であっただろう。様子見する上で、販売延期を決断するのは無理もないことだ。

一方、ちょっと余裕を感じたのはNTTドコモだ。夏モデルのP30 Proは「今夏」発売予定というスケジュール。22日の午前中にNTTドコモの販売担当者は「販売は状況を見て判断する」とのコメントを発していたが、結局、午後にはKDDIとソフトバンクの動きを見て「予約停止」を決めたようだ。

今回、NTTドコモの「今夏」という設定が絶妙だったように思う。業界内の噂では、6月中の発売を予定していたらしいがなぜか今夏という書き方になっていた。同じく、6月中に発売される計画であったソニー・Xperia 1が6月中旬、arrows Be3が6月上旬になっているにも関わらずだ。

たまたま「今夏」というワードを使っていたため、今回の混乱でも「販売延期」ではなく「予約停止にすることができたというわけだ。

ただ、NTTドコモの夏商戦ラインナップを見ると、どことなく「チャイナリスク」を意識しているように思える。

今回、データ通信製品として発表されたのはWi-Fi STATION SH-05L。SHつまりシャープ製が採用された。過去を振り返ってみても、シャープがモバイルWi-Fiルーターを作るなんて珍しい。

しかも、最高速度は988Mbps。通常、NTTドコモのモバイルWi-Fiルーターは、スマホよりも先に、新しい周波数帯に対応し、NTTドコモのネットワークにおける最高速度を更新するという役割を担ってきたが、今回は988Mbps。夏モデルのスマホでは3.4GHz帯に対応し、5つの周波数帯を束ねたキャリアアグリゲーションにより、1,576Mbpsという国内最高速をマークするにも関わらずだ。

「なぜ、このタイミングにシャープがモバイルWi-Fiルーターを手がけるのか」というのを関係者に聞いたところ、「米国企業と取引のある法人顧客は、ファーウェイのモバイルWi-Fiルーターを選びづらい。日本メーカー製も用意し選択肢を与える必要がある」という。

これまで、日本メーカーもモバイルWi-Fiルーターを手がけていたが、どうやらギブアップしたため、シャープにお鉢が回ってきたようだ。

NTTドコモ向けのファーウェイ製品といえば、モバイルWi-Fiルーターだけでなく、タブレットやキッズケータイなどもある。今後、スマホ以外の製品も、日本メーカー製に切り替わっていく可能性がありそうだ。

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