四天王寺は幾たびかの天災や空襲によって焼失し、現在見られるのは昭和時代に再建されたものだ。金堂に入り、ご本尊である「救世観音菩薩」と対峙する。思ったより大きい菩薩半跏像は、周囲を圧倒し、私に語り掛けてくる。
いつもカリカリしてばかりで、疲れるだろう。気持ちを穏やかにして和を学びなさい。
民の苦しみを救うと言われるそのお顔は実に穏やかだ。前に向いた大きな手の平からはまばゆい光が溢れているようだった。
美しい回廊を巡り、仁王門を経て太子殿(聖霊院)を訪れた。ここには聖徳太子四十九才摂政像が安置されている。厩戸王は推古天皇の摂政として、冠位十二階・十七条憲法を制定し、国史の編纂、遣隋使の派遣を行い、中央集権国家の確立を図った。そして、仏教興隆に尽力した。それはすべて蘇我馬子と協調して行った政治であり、蘇我氏の業績でもあった。
西門を出る時、奇異なものを目にした。それは石造りの大鳥居である。寺院の入り口に鳥居がある。かつてわが国では、神仏混交が当たり前であったが、その名残がここにもあった。日本人って不思議だな。
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