アルペンの逆襲。スキー客激減もアウトドア進出で復活の大逆転劇

 

V字回復へ視界は良好

3階には、コンピュータで計測して自分の足にフィットした靴の中敷きをつくれるコーナーを設けている。もともとはスキーなどの選手用にメーカーが開発したシステムだが、偏平足で脚が疲れやすいことに悩む人が相談に訪れるなど、スポーツ向けに開発した機能が、一般の消費者に活用される切っ掛けとなっている。靴を試着して登れるボルダリングウォールも設けられ、実際に登って最適なフィット感の商品を選ぶこともできる。

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登山用品として、リュックサック、レインウエアのほか、スキーやスノーボードの用品も揃っており、単なる登山専門にとどまらず、山で行う多様なスポーツに関するグッズをワンストップで揃えられるように工夫されている。

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3階、登山用具売場

全般に、アルペンのアウトドア専門店では、アウトドアに軽い興味しかなかった人でも、半日くらいかけて飽きずにじっくり見て回れて、商品の1つでも購入してみようかと思わせるだけの商品数と仕掛けがなされており、人気となる理由も納得できる。

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3階レインウェア売場

惜しいのは休憩スペースが少ないことで、顧客の長時間の滞在には飲食を兼ねて休めるレストランも必要。家具のイケア、食品スーパーのコストコ、ホームセンターのカインズあたりは、レストランも売りの1つだ。実際、出入口の外には、新国立競技場を設計した建築家・隈研吾氏と共同設計した住箱によるスノーピークの小さなカフェが出店しており、このカフェを目的に来店する人もいるほど。

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店外敷地内にある「スノーピークカフェ」

とは言え、従来のアルペンの店にあったスポーツ用品の専門店といったイメージは一掃され、日常の健康増進から山へのアクティビティ、それも運動というより、きれいな空気を吸って飲んで食べて遊ぶというところまで裾野を広げたアウトドアショップとして再構築されている。

アルペンのアウトドア専門店は、単にテナントを並べるのでなく、コンセプトに沿ってどこで何を売るのか、精緻につくり込まれた業態である。2020年の東京オリンピックに向け、またオリンピック以降にも続きそうなアウトドアのトレンドに、いち早く対応。V字回復を目指した逆襲へとアルペンの視界は良好だ。

Photo by: アルペングループ | AlpenGroup

長浜淳之介

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

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兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

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