先日掲載の「6割の企業が抱える社員のメンタルヘルス問題。解決の糸口は?」では、現代の企業ならではのメンタルヘルスの問題点と、国が講じる対策等を紹介した無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』。今回は、中小企業ではあまり生かされていないのが現状という「産業医」の職務等が記されています。
産業医の職務
大塚 「メンタルヘルスの研修で、デメリットについては、講師さんって、どんな風に話しておられた?」
新米 「うーん、まず、メンタルヘルス不調者による休職者が増えると、労働損失や経済的逸失利益が発生します」
深田GL 「それに同じ職場の人が休むことによる、残っている人たちの負担増、それによる事故やミスの増加、モラルダウンも避けられないだろ」
E子 「うーん、最近は特に人手不足だから堪えるわねえー」
新米 「優秀でモチベーションの高い社員の離職・転職、インターネットへの書き込みなどの会社の信用低下、顧客へのサービス低下によるトラブル頻発、新規サービスの企画力低下など、与える影響は甚大とも…」
大塚 「もしも自殺なんてことがあったら…?」
新米 「安全配慮義務違反、不法行為責任、損害賠償責任も問われることがあります」
深田GL 「民事訴訟に発展することもね」
E子 「職場の人たちも強い衝撃を受けるでしょうね」
大塚 「同じように悩みを抱えている人の自殺願望も大きくなるかも」
深田GL 「会社の義務としては、50人以上規模の事業所には産業医の選任、衛生委員会の設置が安全衛生法で決まっているわね」
E子 「産業医さんの存在は大きいわね。新米くん、産業医の職務の復習しておこうか」
新米 「産業医さんの職務としては、月に一度の職場巡視、定期健康診断結果報告書へのサインや衛生委員会への参加が主でしょうか」
E子 「衛生委員会には参加するだけでなく、議事録のチェックもしてもらって、議事録に捺印。日頃から安全衛生に気を配って、必要な措置を企業に勧告したり、助言したりするなどしてもらわないとね。細かなレベルでいうと、他には?」
大塚 「細かくいうと、定期健康診断結果報告書はサインだけでなく、労働基準監督署への提出書類の作成、健康診断の事後措置、作業環境の維持管理、長時間労働者の面談、休職や復職に関する面談、日常の健康相談、衛生教育に健康教育労働者の健康障害の原因の調査や再発防止のための措置に関する業務…。細かくあげると、いっぱいありますね」
深田GL 「今春の働き方改革以降は、さらに深くなったね」
新米 「でも、大手企業は別として、産業医さんをうまく活用できている中小企業って少ないように思います」
大塚 「衛生委員会もそうですよね。大手企業は別として、産業医さんをうまく活用できている中小企業は少ないなと」
E子 「衛生委員会では、職場のメンタルヘルスについても調査討議する義務があるけど、ほとんどの会社でしっかりとはできていないと思うなぁ…小さな会社ではなおのことね」
深田GL 「ストレスチェックが始まったのもそういう点に危機感を国が抱いたからだっていわれているね」
E子 「そうね。このストレスチェックに衛生委員会と産業医を関与させることによって、会社のシステムとして、運営していくことを求めたってことなのかな」
新米 「メンタルヘルスリスクマネジメントは、企業の規模や業種を問わず、あらゆる職場の課題です。一人ひとりがストレスやメンタル疾患、職場に体制などについて正しい知識を持ち、相互が協力してシステム化することが大事って教わりました」
深田GL 「まとめとしては、それらが全てうまくかみ合うことによってメンタルヘルスに関するリスクが大幅に軽減され、社員のワークライフバランスの実現、モチベーションの向上、ハラスメントの減少、そして、企業の社会的評価も忘れずにってことかな」
大塚 「そうですね、何かあったら、公表されたり、新聞やニュースに取り上げられる。会社によったら、取り返しのつかないことになります」
E子 「根本的なことだけど、『ストレスとは何か?』とか『ストレッサ─』とは何か?なんてことも学んだの?」
新米 「はい、そんなことも教わりました」
E子 「じゃ、次はそのことも報告してよ。復習すると、勉強になるでしょ?」
新米 「はい、じゃ報告レポート、まとめて来ます!」
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