先日掲載の「狙うは政権交代。勢いづく山本太郎『れいわ新選組』衆院選の勝算」でもお伝えしたとおり、次の衆院選で本気で政権を狙いに行くと公言する山本太郎氏。そんな山本氏と「れいわ新選組」には「ポピュリズムの波に乗っているだけ」という批判も付きまといますが、はたしてそれは正鵠を射ているのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では著者で世界的エンジニアの中島聡さんが、そんな批判を明確に否定するとともに、現在の日米英の「指導者の危うさ」を指摘しています。
※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年7月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:中島聡(なかじま・さとし)
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。
れいわ新選組
今回の選挙のハイライトは、なんと言っても「れいわ新選組」の誕生だと思います。山本太郎には、原発事故以来注目して来ましたが、国民の立場に立って、自分の思いを真摯に語れるという意味では、日本には珍しい政治家の誕生です。
「れいわ新選組」の躍進を「ポピュリズム」と批判する人もいますが、私は少し違うと思います。ポピュリズムとは、票を集めることを目的に、人々が喜ぶ過激なことを言う人のことで、トランプ大統領が良い例です。トランプ大統領が「メキシコとの国境に壁を作る」と宣言しているのは、そんな過激で分かりやすいことを言った方が人々が喜ぶからであり、彼自身は決して壁が必要だとは思っていないのです。
マスコミが「れいわ新選組」を泡沫候補扱いしてほとんど報道しなかったにも関わらず、228万票も集めたのは、ネットの力が大きかったし、「自民党一強の時代をなんとかして終わらせてほしい、でも今の野党にそれが出来るとは思えない」と感じた人が多かったのだと思います。
野党の数が増えることは、小選挙区制を考えると野党側にとって不利ですが、十分な求心力を持った野党が存在しない今、余計なしがらみを背負っていない「れいわ新選組」が次の衆院選の台風の目になるのも面白いのではないかと少し期待しています。
ちなみに、私の政治信条の基本はとてもシンプルです。
右でも左でも強くなりすぎた政権は必ず腐敗する
軍事産業を育てると必ず不必要な戦争が起こる
の二つです。
マスコミまでコントロールし始めた安倍政権はすでに危険水域を超えているし、武器の輸出を解禁して軍需産業を日本の成長産業の一つとして位置付けたことは、戦後の歴史上、最大の過ちだと感じています。
「日本が戦争などするはずがない」と考える人が大半だと思いますが、いざ戦争となったら、国民にそれを止めることは出来ないのです。権力を持ちすぎた人たちは右であろうと左であろうと必ず腐敗し、メディアをコントロールし、人権をないがしろにします。そして、最後には政権を維持するため、国内の問題から国民の目をそらすために戦争をするのが政治家の性(サガ)なのです。
その意味では、「れいわ新選組」でも、「立憲民主党」でも、(共産主義という看板さえ降ろしてくれれば)「共産党」でも、構わないので、いずれかの野党一つが十分な勢いを持って自民党と拮抗する力を持ち、健全な二大政党制へとシフトすることが日本の将来にとって重要だと感じています。
何れにせよ、米国のトランプ大統領、日本の安倍首相、イギリスのジョンソン首相という顔ぶれはとても危険だと本気で心配しています。このメンツがイランとの戦争なんか始めたら、イラク戦争を凌ぐ泥沼に陥ることが目に見えています。民主主義が機能不全を起こしているとしか私には思えません。
image by: MAG2 NEWS
※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年7月30日号の一部抜粋です。