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ボディメイクのプロがズバリ回答。EAAとBCAAはいつ、どう摂る?

メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』の読者から、「EAAとBCAAの使い方を知りたい」という質問が届きました。桑原弘樹塾長は、使い分けを教えてほしいという要望は普段から多いそうで、今回、それぞれの特長や機能、摂取すべきタイミングを解説した上で、より効果的な摂取方法をズバリ教えてくれます。

トレーニング中にはBCAAも飲んだ方がいいの?

Question

EAAとBCAAの使い方を教えてください。最近はEAAをトレーニング中に飲むようにしているのですが、BCAAも飲んだ方がいいと言われていて、どちらも飲むべきなのかEAAだけでいいのか悩んでいます。(32歳、男性)

桑原塾長からの回答

最近、私宛の質問でも、EAAとBCAAの違いであったり、使い分けみたいなものがとても多いですね。やはり、これはEAAが人気だからでしょう。

前号でも少し触れましたが、血中のアミノ酸濃度を高くしておくことは体タンパクの合成にとってとてもいい環境と言えます。プロテインは栄養の価値しかありませんが、うまく使うと筋肥大が起きるのは血中のアミノ酸濃度を上手に維持できるからでもあります。

プロテイン以上に確実にまた無駄なくアミノ酸濃度を高められるのがEAA(必須アミノ酸)です。仮に9種類のEAAが理想的な評点パターンで配合されていたとすれば、これは理論上は体タンパクの合成に向けて無駄が無い栄養状態とも言えます。

ホエイプロテインが分解されてEAAが出てきたとしても、それはアミノ酸スコア100ではあるものの、無駄がゼロという訳ではありません。恐らくこの世の中で理想の評点パターンのタンパク質(つまり無駄ゼロの状態)は、計算されて配合されたEAAサプリメント以外にはないかもしれません。

そういう理由においては、トレーニング中にEAAを摂取するのはバルクアップにかなり効果的と言えます。プロテインの場合は液体であっても消化や吸収に2時間ほどかかりますから、よほど計算して事前に摂取をしておかないとこの状況は作りにくいですから、やはりEAAならではの特長といってもいいでしょう。

一方、BCAAはバリン、ロイシン、イソロイシンという3つのアミノ酸の総称で、筋肉内のアミノ酸の約35%となり、筋肉の主成分とも言えるアミノ酸です。この3種類はすべて必須アミノ酸なので、位置づけとしては9種類の必須アミノ酸の中の3種類という前提となります。

ただし、BCAAは単に体タンパクの合成の材料となる栄養の要素以外に、幾つかの機能を併せ持っています。BCAAに人気があったのは(今でも人気ですが)、栄養としての価値よりもこの機能の方に魅力を感じているからかもしれません。

まず、1つ目はBCAAが筋肉(筋タンパク)の合成を促進し分解を抑制するということです。BCAAは筋肉を構成するアミノ酸の約35%を占める、まさに筋肉の主原料といってもいいアミノ酸です。そしてBCAAを摂取することによって筋肉は合成されやすくなるということですが、これは単に材料として使われるというだけの栄養学的な意味ではなく、BCAAの中のロイシンが中心となってタンパク質因子であるmTORを活性化させるという役割を担っているのです。このmTORはいわば筋肉を合成に向かわせるスイッチのような役割であり、このスイッチをBCAAがオンにするというイメージです。

また、ハードなトレーニングは筋肥大のためには不可欠ですが、トレーニングがハードであればあるほど筋肉は分解されてエネルギーとして使われていきます。これは筋肉内に存在するBCAAに対して特異的に反応する酵素が活性化されて、BCAAが代謝されてエネルギー化していく現象でもあります。つまり、BCAAを摂取することで血中のBCAA濃度を高めておくことにより、筋肉内のBCAAが守られて分解を防いでくれるわけです。

2つ目はBCAA自体が直接エネルギー源としても使われているという点です。BCAAは肝臓ではほとんど代謝されずに、多くが筋肉中で代謝されています。

1つ目の効果とも関連していますが、ある程度追い込んだ状態では、前述の通り筋肉内での代謝酵素が活性化してきて、BCAAがどんどんとエネルギーとして使われるようになります。筋肉の分解はありがたくない現象ですが、摂取したBCAAがエネルギーとして使われていくことは、より高強度なトレーニングが可能となることでもあります。血中のBCAA濃度を高めておくことでエネルギーとしての活用にもなります。

また、これは運動強度の影響もありますが、それ以上に運動時間との関係が密接なようです。したがって、実際の競技などにおいては持久系の競技で特にこの効果が期待できそうです。

3つ目は集中力が途切れないということです。血中でBCAAはトリプトファンというアミノ酸と拮抗しています。それはBCAAとトリプトファンが同じアミノ酸トランスポーターによって、血液脳関門を通り抜けるためでもあります。運動などによってBCAAの代謝が進み、結果として血中のBCAA濃度が下がってくると、相対的にトリプトファンが脳関門を通過しやすくなるのです。

そして、トリプトファンは脳内で「セロトニン」の材料となります。セロトニンは、ノルアドレナリン、ドーパミンと並んで脳内の三大伝達物質と呼ばれるものです。その中でのセロトニンの役割は、ノルアドレナリンやドーパミンといったヤル気満々系の暴走を抑制することで、結果として、心のバランスを整えるような役割を担っています。就寝前などにセロトニンが出にくいと不眠の問題が出てきますし、日中でのセロトニン不足は、怒りっぽくなったり、イライラしたりします。

そんな大切な役割のセロトニンですが、運動やトレーニング中に大量に発生することによって筋収縮のシグナルが減ってしまい、結果として、運動強度を維持するうえではマイナスに作用してしまいます。どんよりとした、けだるい症状といってもいいかもしれません。あくまでもバランスが重要なのです。

血中のBCAAの濃度をトレーニング中にも維持させることは、必要以上のセロトニンを作らせない、つまり、集中力を維持させていくという効果につながるのです。トレーニング時にBCAAを飲む理由の一つはこのセロトニンの過剰分泌を抑制することにもあります。

さて、質問に戻りますと、結論としてはトレ前とトレ直後にEAAを摂取して、トレ中はBCAAを中心に摂取するのがより効果的な摂取方法だと思います。

筋肉を動かす事によってBCAAが特異的に代謝されるということは、EAAのバランスを崩す事でもありますから、トレーニング中は敢えて代謝されやすいBCAAを多くしておき、また同時に幾つかの機能も活用するのです。そして、その前後にEAAをしっかりとバランスを取った状態で摂取すると理想的と言えそうです。更には、トレ後のEAA摂取の後には、やはりホエイプロテインの摂取も必要です。

image by: Shutterstock.com

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桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

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