韓国には「反日運動になど興味がない一般市民もいる」という事実

 

お孫さんの話からわかるように、この方は完全に親日派である。親日派は韓国語の発音ではチンイルパとなる。「わたしは、チンイルパです」とはっきりと言う。親日派。日本の人が見れば「あ、そう、日本が好きなんだね」という軽い気持ちでこの漢字語を読むはずだ。ところでこちら韓国ではチンイルパという語はタブー中のタブーなのである。禁句中の禁句なのだ。

知人友人ら数人の前でだったら「ナヌン チンイルパヤ(オレは親日派だ)」ということはあるいはありうるかもしれない。しかし、大学の教室とか会社の会議室あるいは市民がおおぜい集まっている場でそんなことを言ったら半殺しに遭うかもしれない。それほど、危うい語なのである(半殺しというのはやや誇張である)。日本の植民地の時代(1945年までのだいたい40年くらいの間)に、独立運動をやるのか、チンイルパでやるのかが韓国では一人の人間の生き方においての一大岐路だったからだ。チンイル親日でやっていくということはその当時はほとんど同胞を裏切って金や利益のために日本に身も心も売ってしまったという烙印を押されるようなものだったからだ。その伝統が今でも色濃く残っているため、チンイルパという語は無条件で嫌われる語になっている。そのチンイルパという語を、ハンさんは口に出して言うのだ。もちろん聞いているのは筆者一人だからなんの問題もないのだけれど。

ところで、彼の言うチンイルパというのは、優れているものは優れているものとして素直に学ぶべきであるし、進んでいることがあれば、それを習い、教えてもらうべきである。悪いものは悪いけれどよきことはいいのである。たとえそれが日本のものであったとしても。ミソもくそもみんないっしょくたにして、日本否定、日本製品不買と叫ぶ韓国の同胞らがちょっとおかしいと感じている。

今回の安倍氏のやり方には、さすがのハンさんもあれはちょっとやりすぎじゃない、という気持ちがあるけれども、だからといってデモを先導して日本否定にやっきとなっている人々にも納得がいかないという気持ちを強くもっている。だから筆者とも非常にウマが合って、2時間3時間の昼飯があっという間に過ぎてしまった。

ほかにもいろいろの話があるのだが、今回の文章はこれくらいにしようかと思う。ハンさんのような人がこちら韓国にどれくらいいるだろうか。筆者の完全な独断と偏見なんだけれど、おそらく20から30%は下らないと考えている。日本否定の同胞たちをおかしいこりゃちがうと考えている韓国の人は結構多いのだ。このことを日本の方々にはぜひ忘れないでいただきたい。

安倍氏は今完全に感情的になっている。あんなヒステリックな仕打ちをなんでやってしまったのか。弱いものいじめのようなことをやってはならない。ニッポンの武士道が泣いている。聖なる国日本の恥になるようなことをやらないでほしい。

あ、ところで『聖なる国日本』という本が存在するのをご存知だろうか。エハン・デラヴィというイギリスの人が書いた本である。韓国漬けになっている今日この頃、第三国の方が書いた日本論、ご一読を強くお勧めいたします。

image by: SUDONG KIM / Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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