現役30年のアナウンサーが教える。聞き手の脳に届く声の響かせ方

shutterstock_122637748
 

人前で話すあらゆるシーンに役立つプロの技を伝えてくれるメルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』の著者で、アナウンサー歴30年の熊谷章洋さん。前回からの「話し方の表現力を上げる」シリーズ第2弾は、「声を響かせるための練習法」です。そしてその練習の前段階として、「共鳴」と「110ヘルツ」という音に関する興味深い考察を行なっています。

声を響かせて、聞き手の脳に影響を与える

話す内容の良し悪し、完成度に関係なく、表面的な「しゃべりの技術」によって、話し方の表現力を上げる5つのアプローチをご紹介しています。

前回は、アプローチその1として、声を磨くことをテーマにお話ししました。肉体は声を出す楽器であると捉えると、その楽器が出せる一番美しい音を、まずは極めるべきであり、その音とは、声帯をピンポイントで震わせて出せる、お坊さんの読経のような、自然で滑らかで、ひっかかりのない声です。

そして、そのような、ピンポイントで声帯を震わせる練習として、口を閉じたままで、母音や子音を乗せない、「んーーーー」という声だけで、滑らかで艶のある音を作ってみること、そして、高低高低高低高低と、喉の奥の響かせだけで、出し分けてみることを、おすすめしましたね。詳しくは、まぐまぐサイトで、過去記事「現役30年のアナウンサーが実践。「んーーー」で磨く自分の「声」」をご覧ください。

普段、声を発する時間が少ない方、無口で、おとなしい人は特に、なのですが、声を出して話す時間が少ないと、肉体的に、息を吐く勢いも少なく、同時に、声帯をピンポイントに震わせられなくなってしまっているため、声量が乏しくなりがちです。

話す情報量も少ないうえに、声も小さい、となると、コミュニケーション能力を高めていく手段としては、選択肢がかなり少なくなりますよね。

話す情報量も少ないうえに、声も小さい人が、コミュニケーション上手になる方法として、残された選択肢は、例えば、相手との距離を近くする、アイコンタクトをしっかりする、表情を豊かにする、肉体的接触、触れあいを多くする、身振り動作などの方法で、親愛の情を伝える…つまり、猫のようにふるまっていれば、嫌われたり、不本意な誤解を受けたりすることは無いでしょうし、親密な人間関係を構築するには、それができる人のほうが有利だとは思うのですが、むしろそのほうが、難しくありませんか?

やはり、相手と一定距離を置いた関係のなかで、確実に何かを伝えるためには、ある程度「届く声」が必要だということです。そういう意味でも、声が小さい人は特に、ピンポイントで響かせることを意識するのが良いと思います。

print
いま読まれてます

  • 現役30年のアナウンサーが教える。聞き手の脳に届く声の響かせ方
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け