人間という生き物はなぜ水を飲まななければいけないのでしょう。喉が渇くから?熱中症予防?いえ、そこにはもっと根本的な理由がありました。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で科学者のくられさんが、私たちが水を飲み続けなければならない理由を解説しています。
どうして人は水を飲むのか?
人は水を飲まないと生きていけません。
この超根源的な質問に科学的な回答をしてみよう。
答えは「喉が渇くからでぇ~~っす」のような出来の悪いなぞなぞではなく、科学的に「どうして水を定期的に摂取しないといけないのか?」をちゃんと答えらるかどうかは、わりと大事です。
こういう質問にバシっと答えられるかどうかで理科の教師の質も分かるので、いじわるな人は聞いてみよう。ちなみに、その場で即答できなくても、答えを調べてくれたり、宿題としてくれる先生は良い先生だよ。
さて、答えを先に言うと「Nの排出方法としてコレしかないから」に尽きる。
この雑すぎる回答でOKな人はそもそも即答できているはずなので、ちゃんと説明しましょう。
「食物の栄養、タンパク質としてとりこんだものはアミノ酸まで分解されて、アミノ酸は体のあちこちの代謝や組織の構成などに使われます。例えばあらゆる食品に含まれる水素は、酸素と反応させて無害な水にできるので問題なく、炭素だって二酸化炭素という形で不要な部分を呼気として捨てることができますが、窒素(N)だけは体内ではアンモニア(アンモニウムイオン)として捨てるしかなく、これをそのまま置いておくと毒のある物質なのでたくさんある炭素と酸素をわざわざくっつけて、尿素という水溶性の毒性の低いモノへと変換して、それを尿として捨てる必要がある」
という長い説明になります。
それ以外にも、人の体重の6割が水であるわけなので、それが前提で臓器や血管の中の血液が維持されています。
このバランスが崩れると臓器負担が上がって危険なので、水分が必須とか、そもそも水を中性脂肪などのエステル、ペプチドなどを加水分解するときにも使われますし、ただの溶媒だけでなく反応する薬品成分としても当然使われているので、とにかく水分維持は生命維持に必須であるといえるわけです。
栄養や酸素などを外部から取り込む同化に対して、新たな生命サイクルのために栄養を取り込み、それを廻して別の物質として排出する、これを異化と読んでいるわけですから。
「同化と異化のサイクルに必須である」
もまた正解といえます。
人間の体というのは非常に複雑な元素の組み替えで生命を維持しており、それらすべてはもちろん解明されていません。
××が溶けた健康に良い水みたいなアホくさい商品は定期的に出てきますが、この元素を取り込めば健康になる!なんてものは分かっていたら真っ先に病院で出てるはずです、オカルト商品なので騙されてお金をドブに捨てたい奇特な人以外は買わない方がいいでしょう。
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