普段は気にせず交わしている会話の中にも、誤った表現は隠れています。意味の重複する言葉「重言」もその一つ。今回の無料メルマガ『神垣あゆみメールマガジン』では著者の神垣あゆみさんが、ありがちな例文を基に、どの言葉の意味が重複しているのか、どう言い換えれば自然な表現になるのかを解説しています。
ありがちな重言 今現在
意味が重なる言葉を気づかずに使っていることがあります。例えば「今現在」。「今現在の当社の課題は…」と言ってしまっていませんか?
「今」と「現在」は同じ意味なので、「今の当社の課題は…」「現在の当社の課題は…」と分けて使います。
「良い返事を期待して待っています」という文も「期待」という言葉の中に「待つ」が含まれているので、「良い返事を期待しています」または「良い返事を待っています」とします。
話し言葉では気づきにくいのですが、書き言葉にすると、文字を見て“意味の重複”にふと気づきます。逆に、文字を見て意味の重複に気づけば、話し言葉でも気をつけるようになります。
ありがちな重言 伝言を伝える
「ご不在でしたら、伝言をお伝えいただけますか」
上記の「伝言を伝える」。伝言は、人を介して相手に用件を伝えること。伝言の「伝」と「伝える」が重複していますが、話し言葉ではうっかり使いがちです。
「ご不在でしたら、伝言をお願いできますか」または「ご不在でしたら、○○とお伝えいただけますか」と伝えたい用件を簡単に伝えます。
ありがちな重言 少しは~なきにしもあらず
「少しは自慢したい気持ちがなきにしもあらずですが…」
上記の「なきにしもあらず」は、漢字では「無きにしも非ず」と書き、ないわけではない、つまり、少しはあることを意味します。
文の初めの「少しは」と「なきしにもあらず」は意味が重なるので、どちらか一つを使います。「少しは自慢したい気持ちがありますが…」または「自慢したい気持ちがなきにしもあらずですが…」です。
「わずかな望みはなきにしもあらずですが」「多少、違和感がなきにしもあらずですね」といった文も、「わずかな」「多少の」が「なきにしもあらず」と意味が重なるため、「わずかな望みはありますが」または「望みはなきにしもあらずですが」に。
「多少、違和感がありますね」または「違和感がなきにしもあらずですね」とします。
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