【観光立国政策の誤り】日本政府は訪問人数より金額を目標とせよ!

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観光こそが人口減対策

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」
第145号(2015年1月6日号)』

日本に帰るたびに日本の潜在可能性を強く感じる。日本は、英語の表現でいう「ポケットが一杯ある」状態なのだ。裏を返せばせっかくの力を活かしきれていない。その最たるものが観光だ。人口減対策として一番効果があるのは、「入れ替わり立ち代わり、日本人の代わりに滞在して消費活動する人を増やす」観光だ。

日本政府は、人数を目標にするから間違うのだ。人数はたくさん来ている。しかし、それが落としてくれる金額は、欧州の観光大国に比して非常に少ない。産業として育成を目指すなら、観光客が落とす金額を増やすことを目標にすべきだ。人数×1人当たり落とす金額が産業規模になる。それでみると、京都でさえ欧州の観光名所に比して1人当たりで落とす金額も年間訪問者数も1桁少ない感じだ。

「おもてなし」とかいって、来てもらってもてなすのが目的であるべきではなく、来てもらってお金を落としてもらうことを最上最大の目的とすべきなのだ。世界中でどういう場所で人はたくさんお金を落としていて、そこには何があるのかはすでに数字として明らかになっている。

なぜその努力を、昔は地方活性化、今では地方創生とか言っても、地道にやらないのか? 観光庁もやらないのか?

答えは簡単。本気でないから。そして本気になる動機付けになっていないから。分析から実施まで細かくチェックして責任を問う体制になったことが一度もないからだ。

人口が減ってもそれを上回る数の人が一時的に来てくれて、その場所に喜んでお金を落とすようになれば、経済は衰退しないどころか活性化する。当たり前のことが数字で精査されずに放置されている。残念だ。こういう点を詰めていけばまだまだ日本にはチャンスがあると思う。それができない理由は深刻ではあるが、実現不可能なものではないから。

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」第145号(2015年1月6日号)』

著者/田村耕太郎(前参議院議員)
第一次安倍政権で内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権担当)をつとめる。エール大、ハーバード大、ランド研究所にて研究員の経験あり。デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を各修了。オックスフォード大学AMPおよび東京大学EMP修了。日本人政治家で初のハーバードビジネススクールのケース「Politician in Leather Suits」の主人公になる。2014年より、シンガポールに転居、最新のアジア情報を伝える
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