事態打開の「打つ手」はあるのか
不二家は洋菓子事業のほかに、スーパーやコンビニで販売される菓子の製造と卸売りを行う「製菓事業」も手掛けている。「カントリーマアム」シリーズが看板商品だ。同事業の18年12月期業績は、売上高が700億円、営業利益が66億円だった。売上高と営業利益はともに増加傾向にあり、同事業に関しては好調と言っていいだろう。
では、不二家全体の業績はどうか。同社の18年12月期連結決算は、売上高が前期比0.6%減の1052億円、営業利益は2.1倍の24億円だった。最終利益は91.6%減の13億円だった。営業黒字は9期連続(変則決算除く)、最終黒字は4期連続となっている。洋菓子事業の営業赤字は製菓事業の黒字で穴埋めできているので、全体では赤字とはなっていない。とはいえ、洋菓子事業の赤字を許していいわけでは当然ない。また、全体の売上高はここ数年横ばいが続いており、成長が見られない状況だ。早急に抜本的な対策を講じる必要がありそうだ。
不二家以外の洋菓子チェーンはどうか。
銀座コージーコーナーも苦戦を強いられている。同社のウェブサイトや採用サイトによると、売上高は19年3月期が253億円で、近年は減少傾向にある。18年3月期は259億円、17年3月期は266億円だった。また、決算公告によると、19年3月期の最終損益は7億5,500万円の赤字(前の期は3,800万円の黒字)に陥った。最終赤字は5年ぶり。
同社は現在、首都圏を中心に洋菓子店を約400店舗展開している。1号店が誕生したのは1948年。84年に発売した「ジャンボシュークリーム」がヒットし、同社の看板商品となっている。同社の商品はこれまでに数多くの賞を受賞しており、例えば、国際的な食品品評会「モンドセレクション」を03年まで7年連続で受賞している。
同社は昨年に創業70周年を迎えた。老舗であり、根強いファンを抱えている。しかし、他の洋菓子店と同様に、ハレの日需要やギフト需要の減少などで苦戦するようになった。08年にはロッテホールディングスの傘下に入り、立て直しを図っている。しかし、それでも厳しい状況から脱することができていないのが現状だ。
洋菓子販売では不二家や銀座コージーコーナーといった大手でさえも厳しい状況に置かれている。事態を打開するには商品を強化するほか、集客力の高い商業施設への出店を強化したり、海外市場を開拓するといったことが必要だろう。また、SNSなどを活用し、コンビニスイーツにはない魅力を発信するといったことも欠かせない。街のケーキ屋さんも同様で、コンビニにはない商品を開発し、その魅力を積極的に発信していく必要があるだろう。洋菓子店は岐路に立たされている。
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