コンサルの失敗事例
コンサルティングというのは、成功事例ばかりではありません。失敗することだってあるのです。3つ目の事例は、その失敗をしたときの話です。
【事例3:経営計画書を作る】
これも、私がコンサルタントとして活動を始めたころのことです。老舗スポーツ店さんからご相談がありました。業績が芳しくないので、立て直し策を考えて欲しい、とのこと。
私は、意気揚々としてお店を訪問しました。まだコンサルタントとしての実績は少ないときでしたが、それまでに手掛けた事例はすべてうまくいっています。今度も大丈夫だという自信を持って臨みました。早速、先方の状況をヒアリングすると、取扱商品をどう絞っていくか、そして、お客を増やすにはどうしたらいいかということが、ポイントのようです。
しかし、私はそのためのノウハウを提供するよりは、もっと本質的なところに目を向けていただこうと考えました。そこで、先方の店主と話し合った結果、新たに「経営計画書」をつくることにしました。「市場の分析、自店の分析、理念の再構築、顧客ターゲットの設定」などから始めます。
ところが、一向に作業がはかどりません。そして、3か月を過ぎた頃です。「もうコンサルティングは結構です」という電話が入りました。
「えっ?まだ計画書は出来あがっていませんよ!」
その理由をお聞きすると、「私が当初考えていたコンサル内容と違うから」ということ。ショックでした。うまくいくと自信を持って臨んだのに、結果は「コンサル打ち切り」です。
もちろん、店主は経営計画書の重要性はよく分かっていました。しかし、それよりもひっ迫している問題は、早急に売上を回復することです。ですから、私はまずその方法を提案することが先決だったのです。
この時、私は分かりました。コンサルティングとは、自分の考えや理論を押しつけることではなく、相手の立場に立って問題解決をしてさしあげることだということが。コンサルタントとして「実に甘い」自分がいました。
結果的にこのお店にはご迷惑をおかけすることになってしまいましたが、私は本当に感謝しています。コンサルタントとしてのあり方を気付かせていただきました。
いかがでしょうか。以上、3つの事例をご紹介しました。こうしてコンサルタントは成長していくのです。もっと事例をご紹介したいところですが、今回はここまでにしておきます。
■今日のツボ■
- 何事にも初めがある。全力を尽くせば何とかなるものである
- 素直さと熱意とスピードが、物事を成し遂げる要素である
- コンサルタントは、理屈ではなく相手の本音に向き合うことである
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