いま世界はこの二大国の争いをじっとみつめている。ともに大人口を抱える消費市場であり貿易相手国にとっては両国ともゆるがせにできないからだ。日本や英語圏の国々はアメリカに寄り添いつつあるが、イタリア、フランス、ドイツなどは中国との貿易も大事にしており、通貨の決済も「ドル」から「元」に変えるところが増えてきている。
1、2年ほど前までは、中国がアメリカと正面から対抗することは殆んどなかった。しかし、トランプがアメリカ第一主義を唱え始め、自国優先の思想を露骨に表に出し始めてきたせいか、今や中国は一歩も引かない構えなのだ。世界はまた再び覇権を巡る争いの時代にきているのかもしれない。覇権の交代は一体、何をきっかけに、どのようにして行われてゆくものなのか。過去の歴史を顧みながら、現代の覇権交代の経緯をつぶさにみておきたいものだ。
覇権国には広大な国土、世界有数の人口、軍事力、経済競争力、それらを総合した“国力”などが備わり、覇権国になるという強い意志を持たないと覇権を握ることはできない。この数年でその条件を整えてきたのは中国だ。これまで覇権を握っていたアメリカはアメリカ第一主義を唱え、ディール(取引)によって相手国に打ち勝とうとしており、これまでの覇権の概念とは違った手法をみせ始めている。これに対し、中国は従来型の覇権を目指しているように見え、今後、米、中の争いが、どんな展開を辿るのか注目される。
(TSR情報 2019年10月2日)
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