現役医師が警鐘。咳止め薬と風邪薬の依存症が拡大するニッポン

 

メチルエフェドリン

メチルエフェドリンはエフェドリン由来の化学物質であり、エフェドラという薬草から抽出されるアルカロイド物質で、交感神経刺激薬です。このように、メチルエフェドリンはアドレナリン様作用があり、気管支を拡張させる作用と咳を抑える作用を持ちます。ジヒドロコデインも咳を抑える作用があるので、両者を服用することによって咳を抑える作用が強くなり、咳止め薬として使われるようになったのです。

メチルエフェドリンは交感神経刺激薬であり、薬理学的には覚せい剤とほぼ同じ薬です。すなわち、合法的に手に入れることができる覚せい剤なのです。依存性も強いため、使用量がエスカレートすることにより、興奮や痙攣、不整脈による心停止のリスクがあります。1980年代のバブル期にブロンの乱用でけいれん重積や心停止患者が増えて社会問題化したため、液体タイプから両成分が除かれましたが、錠剤タイプにはまだ含まれたままです。

もともと咳とは進化の過程で人間が獲得した防御機構であり、風邪をひいて咳をするのは、ウィルスや細菌などの病原体を気道から排除するための反射なのです。外来診療でも、私は原則として風邪の患者さんには咳止めは処方しません。OTC薬から、ジヒドロコデインとメチルエフェドリンは除くべきなのです。咳止めとしてこれらの成分が必要な人は医療機関でのみ処方されるべきなのです。

文献:
AR Olasunkanmi, AO Isreal. A Narrative Review of Codeine and Preventive Measures in Mitigating against the Widespread of its Abuse and Misuse. J Alcohol Drug Depend 7 (323), 2, 2019
image by: Shutterstock.com

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