【高城剛の観光論】神戸まで片道280円の立ち乗り飛行機で日帰り旅行

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「ロースピードキャリア」なら東京-ロスアンゼルス間数百円

高城未来研究所「Future Report」第186号(2015年1月9日発行)

今週は、ロスアンゼルスにいます。

新年早々、日本での仕事がなかなか終わらず慌ただしく出国しまして、その上、この一週間で上海、クアラルンプール、ドバイ、カタールとまわって、ここロスアンゼルスまでやって来ました。すでにこの一週間で地球3分の2周しておりますが、このあとブラジルをはじめとする南米のいくつかの都市を経て、その後ニューヨークへと向かわねばならないことを考えると、直線距離にすれば2週間で地球1周半ほど廻ることになります。どうやら、今年は忙しい一年になる予感です。

よく、ご質問で「いままで何カ国ぐらい行ったのでしょうか?」と尋ねられるのですが、実は数えたことがなく、その巡った国の数が僕にとって大きな意味を持っているとも思えませんので、あまり気にしたことがありません。おそらく、一年間に地球4-5周はしているでしょうから、考えてみれば、もう地球100周以上まわってることになります。

10年前には、空港に向かいながら離陸二時間前に急遽チケットを買って飛び乗るようなことは難しかったと思いますが、航空運賃が年々安価かつ電子化したことにより、多くの不可能が可能になって、その恩恵に預かっているのは大企業ではなく、むしろ偶発的に動ける個人の方が多く受けてるように思います。今後、さらに移動コストも通信費も下がるでしょうし、そのうち航空運賃が新幹線の3分の1程度になるでしょう。なにしろ、鉄道のような膨大なインフラコストが必要ないからです。

運送屋を営む知人は、「飛行機のビジネスクラスが割高に思えてならない、高い金額を支払って早く着くならまだしも、、、」とよく嘆いていて、それは言い得て妙で、列車なら高速鉄道は鈍行列車より早い分、運賃が高くてが当然だ、と言えますし、タイム・イズ・マネーなどの昔ながらの格言通りとも言えます。ということは今後、航空業界に東京ーロスアンゼルス間二時間半で飛ぶスーパージェットも登場しますが、今と同じようにエアバスA380やボーイング787などの「古い機体」に乗って、ゆっくり飛ぶ安価な便もあるはずです。それが「ロースピードキャリア」と呼ばれるか定かではありませんが、価格破壊の法則に従えば、東京ーロスアンゼルス間数百円になってもおかしくありませんし、もしかしたら「ロースピードキャリア」は、広告だけで無料運行される便が出るかもしれません。なにしろ、地域ブランディングに大金を投じるよりも、画期的な導線アイデアを構築できれば、確実にその地に訪れる人が増えるからです。

その時代には、タクシーも広告費だけで無料サービスされるのでしょうが、唯一電車だけは膨大なインフラとメンテナンスを必要とする独占事業ですので、高額なままでしょう。ペイパルマフィアと呼ばれたイーロン・マスクが、時速1287キロ出る高速鉄道に興味を示すのは、実は競合がない安定したビジネスだからなのかもしれません。

今週、地球3分の2周しながら飛行機の中で見た初夢は、まるで満員電車のような立ち乗り飛行機でした。世界中に余るほとんど使われていない地方飛行場を運用するためには、飛行時間90分以内の飛行機の座席を抜本的に変え、短距離シャトル便を増発し、鉄道と拮抗するLCCの次のモデルを構築する以外ありません。

よく初夢は正夢になると言われます。神戸まで片道280円の立ち乗り飛行機で日帰り旅行に出かける日。お土産の神戸ビーフの値段は、航空運賃の何十倍もすることになるでしょう。なにしろ、神戸行きの安価な飛行機内の広告は、神戸ビーフばかりだからです。

 

高城未来研究所「Future Report」第186号(2015年1月9日発行)

著者/高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ!デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。
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