有識者会議ではキャリアにeSIM開放を迫る流れ━━グーグル・Project FiはプラスチックSIMカードにも書き込み可能
有識者会議では、MVNOにおけるeSIMの活用についても議論された。
現在、eSIMを提供するにはHLRやHSSといった加入者管理設備を持っていなくてはならず、日本ではIIJなど一部のMVNOがeSIMを提供できている。遠隔でSIM情報を書き込む、リモートSIMプロビジョニング(RSP)という仕組みが必要だからだ。
有識者会議での雰囲気としては、eSIMによって気軽にSIMカードが発行できるようになるため犯罪防止のために本人確認はしっかりとすべきだが、キャリアには積極的にMVNOにeSIMの発行機能を提供すべきという結論になっていきそうな感があった。
確かにeSIMは便利だ。eSIMといえば、予めスマホやタブレットに埋め込まれたチップにSIMカード情報を埋め込み書き換えるイメージがある。確かにiPhoneやiPadのeSIMはそうした使い勝手となっている。
ここ1年で「さらに便利だ」と感じたのが、グーグルのMVNOである「Google Fi」のeSIMだ。Pixelシリーズでは、プラスティックのカードなしにeSIMにGoogle Fiの情報が書き込める。この際、「あ、やっぱり別のスマホで使いたい」というときには、一度、eSIMに書き込んでしまったので、Google Fiのカスタマーセンターに連絡してプラスティックのSIMカードを再発行してもらうものだと思っていた。しかし、サイトにはそうした記載は一切ない。
試しに、eSIMを発行する前に使っていたプラスティックのSIMカードを端末に挿入し、Project Fiアプリから番号発行のメニューを選ぶと、なんとeSIMに書き込んだはずの電話番号情報はプラスティックのSIMカードに再度、書き込まれたのだった。
つまり、eSIMは、物理的に埋め込まれたチップだけでなく、プラスティックのカードでも書き込みが可能だということだ。
確かに、IIJのeSIMを説明するサイトにはeSIMとは埋込み型のSIMカードもあれば、書き換え可能なSIMカードとして、プラスティックのカードでもいいという記載がある。
埋込み型とプラスティックのカード、それぞれを渡り歩いて使えるというのは確かに便利だ。
eSIM対応機種やサービスが増えてくると、MVNO市場もまた面白くなってきそうだ。
image by: 総務省