中島聡氏が驚嘆、音楽生成AI「Suno」の「とんでもない価値」とは?進む才能の民主化、必要なのは“歌い手”になる覚悟だ

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文章からイラスト、写真、動画まで簡単に作り出してしまう生成系AI。それによって人間の生産性が上がる、コストが下がるといった話題は、すでにお馴染みのものとなりました。一方で生成系AIは、そのような「効率化」の議論とは別に、プロから“創作の特権”を奪い去り、“才能の民主化”とでも言うべき状況を引き起こす可能性があるようです。これに関して、プロンプトから音楽を作ることができる「Suno」を利用した際、生成系AIが人間に与えてくれる「これまでにない体験」に気づいたと語るのは、Windows95を設計した日本人として知られるエンジニアの中島聡さん。AIが人間の創作物から学習する限り、法的懸念や「絵や音楽が上手くなりたいならそれだけの努力をせよ」といった反発はなくなりませんが、それでもこの流れはもう止まらないかも?(メルマガ『週刊 Life is beautiful』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです。原題:生成系AIのポテンシャル

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

音楽生成AIが私に提供してくれた「これまでにない体験」

文章だけでなく、画像や音楽までプロンプト(=テキスト)から作ってしまう生成系AIは日進月歩で進化しており、それをキャッチアップするだけでも一苦労です。そんな中で、「私たちのライフスタイルを大きく変える体験」を自らしたので、報告します。

先日、プロンプトから音楽を作ることができる、Sunoというサービスの存在を知り、早速、試してみたところ、とても良くできているので感心しました。

その時、ちょうど、私のハワイでのゴルフ友達のJohn(もしくはJohny)から、「ハチミツの次のロットが収穫できたから明日渡すよ」という連絡がありました。Johnは、家の庭にミツバチの巣箱を作り、そこからハチミツを収穫しては、”Jonny’s bees”というラベルを貼った瓶に詰めて、知り合いに配っているのです。

何かお礼をしなければ、と思った私は、試しにSunoに対して、Johnのハチミツに関する曲を作るように依頼してみました。

入力したプロンプトは、”A mellow Hawaiian song about sweet honey from Jonny’s bees“というごく単純なものです。

すると、”Sweet Honey“という素晴らしい曲を作ってくれました(リンク先で作品を聴くことができます)。

歌詞は以下の通りです。

In the land of aloha, where the palm trees sway There’s a man named Jonny, got a buzzin’ payday (payday) With his little honeybees, they work day and night Collecting that sweet nectar, it’s a pure delight (oh-yeah)

Oh, sweet honey, drippin’ from the comb (drippin’ from the comb) Golden sunshine, makes my heart feel at home (feel at home) Jonny’s bees, they got the magic touch (magic touch) Sweet honey, taste it, it’s a little too much

Sittin’ on the shoreline, watchin’ waves crashin’ by Jonny and his ukulele, under the tranquil sky (tranquil sky) Singin’ ‘bout the sweetness, that his bees provide Spreadin’ love and joy, with every bee’s stride (ooh-yeah)

ちゃんと韻は踏んでいるし、ハワイの風景も見事に描かれています。

そこで、曲をJohnに送ったところ、本人からは ”That’s awesome…I’m speechless.”という返事があり、奥さんのPeggyは、”It raises the bar for any gift!”と絶賛です(”it raises the bar”とは、「これを超えるものは難しい」という意味の、最高の褒め言葉です)。

この時に、気がついたのは、これこそが生成系AIが与えてくれる「これまでにない体験」だということです。

生成系AIについて語る評論家たちの多くは、これによって、クリエイティブな人たちの生産性が上がる、コストが下がる、職が奪われる、など点に注目していますが、それらは単に「効率化」という表面的な話でしかないのです。

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