ある一定以上の年齢の人が一定額を支払うと、電車やバスなどの公共機関が乗り放題になる敬老パス。その条件は自治体によって様々だが、利用者の増加で事業費が膨らみ、見直しの議論が高まっている自治体がある。それは神奈川県横浜市。バス事業者が乗車実績に見合う助成金を受け取っていない状況が浮き彫りとなり、悲鳴が挙がっているとネットで話題になっている。果たしてその現状はどうなっているのか?
増え続ける敬老パスの受給者
横浜市が敬老パスを受け取れる年齢は70歳以上の市内在住者。朝日新聞が伝えたところによると、「横浜市で制度が始まった1974年度は7万人弱だったが、2018年度は40万4千人。2025年度には45万2千人に達するとみられる」という。
乗り放題の敬老パス、横浜で見直し議論 バス業界は悲鳴 https://t.co/FdIMrSJeWG
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) 2019年12月15日
もともと想定していた利用者1人あたりの月間バス乗車回数は15回。これに基づき、市はバス事業者に助成金を支払っているが、市がアンケートを取ったところによると、実際の乗車回数は月25回で大きく開きがあった。
「市が払う助成金は今年度約99億円だが、仮に乗車回数を月25回に見直すと、21年度には約186億円に膨らむ」と朝日新聞は伝えている。
現在の70歳以上から年齢を75歳に引き上げる、毎月の利用回数に制限を設ける、一定以上の収入がある人を対象者から外す、現在の紙製からICカード化してデータをしっかり取る、などの意見が挙がっているという。これに対し、ネット上では様々な反応が見られる。
Twitterの声
横浜市って大都市でそれなりに収入ありそうなのに、中学の給食の話も含め、何故こんなに貧相な話が多いんでしょうね。https://t.co/j3I7gFLs2X
— Tsuta_ko (@tsuta_kom) 2019年12月16日
敬老パスはあったほうが良いとは思うけど、もう少し受益者負担をすべきだと思う。所得で負担額変えるとか?
敬老パス見直し 高齢化で横浜市負担増、初の100億円超 https://t.co/072nVqU80g
— boomin614 (@boomin614) 2019年12月16日
敬老パス以外にも横浜市には障害者に支給される福祉パス、生活保護世帯に支給される福祉特別パスというものもあります。
今回、敬老パスの見直しの方向性が決まると上記2つのパスも必然的に見直されます。
横浜市は乗車証の種類が多く複雑です。
これもストレスの原因の1つです— ぐれ! (@torayoka) 2019年12月16日
確かに昼間のバスなんか老人しか乗ってねぇもんな。ただ、中心街以外の横浜市ってバス無いとかなり厳しいぞい。
なんか最近、横浜って住みづらい街になってきたな、と感じる。 https://t.co/CL6oXoM1yn
— Satoshi M (@goat_045) 2019年12月16日
横浜市のバスは頻回に利用したが、乗る人は敬老パスばかり。二束三文で入手できるしどこをどうしたら予算が続くのかと疑問に思っていた。
一方で子供の医療費は1歳まで無料で、2歳以降は厳しい所得制限。子育てに厳しい自治体の老人優遇は見直すべき。— AZUL (@AZUL3285) 2019年12月16日
また、他の自治体を見てみると、年間約24万人が利用する兵庫県神戸市でも、現在は70歳以上の対象者に年3万円分の敬老無料乗車券を交付しているが(一部自己負担)、高齢化などで事業者の負担が増える中、制度の見直しの声が挙がっていると、神戸新聞が伝えている。
市の敬老、福祉パス見直し案 4日から意見公募:https://t.co/UtiddAJRRP#神戸新聞 #神戸市 #敬老パス #福祉パス pic.twitter.com/gpvtYPqKNT
— 神戸新聞 (@kobeshinbun) 2019年11月29日
「現行は夢のようなパス」とも揶揄される敬老パス。高齢化社会が進む中で制度を維持していくには、確かに見直しを含め議論していかなくてはならない。その一方で、制度の条件を厳しくすれば、高齢者ドライバーが増加し、それに伴う事故がさらに増加する懸念も否めない。どのような制度改革が行われていくのか?その取り組みが今後も注目される。
image by:TK Kurikawa / Shutterstock.com