横浜市の負担がついに100億円。乗り放題の敬老パス見直し議論

2019.12.16
by tututu
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ある一定以上の年齢の人が一定額を支払うと、電車やバスなどの公共機関が乗り放題になる敬老パス。その条件は自治体によって様々だが、利用者の増加で事業費が膨らみ、見直しの議論が高まっている自治体がある。それは神奈川県横浜市。バス事業者が乗車実績に見合う助成金を受け取っていない状況が浮き彫りとなり、悲鳴が挙がっているとネットで話題になっている。果たしてその現状はどうなっているのか?

増え続ける敬老パスの受給者

横浜市が敬老パスを受け取れる年齢は70歳以上の市内在住者。朝日新聞が伝えたところによると、「横浜市で制度が始まった1974年度は7万人弱だったが、2018年度は40万4千人。2025年度には45万2千人に達するとみられる」という。

もともと想定していた利用者1人あたりの月間バス乗車回数は15回。これに基づき、市はバス事業者に助成金を支払っているが、市がアンケートを取ったところによると、実際の乗車回数は月25回で大きく開きがあった

「市が払う助成金は今年度約99億円だが、仮に乗車回数を月25回に見直すと、21年度には約186億円に膨らむ」と朝日新聞は伝えている。

現在の70歳以上から年齢を75歳に引き上げる、毎月の利用回数に制限を設ける、一定以上の収入がある人を対象者から外す、現在の紙製からICカード化してデータをしっかり取る、などの意見が挙がっているという。これに対し、ネット上では様々な反応が見られる。

Twitterの声

また、他の自治体を見てみると、年間約24万人が利用する兵庫県神戸市でも、現在は70歳以上の対象者に年3万円分の敬老無料乗車券を交付しているが(一部自己負担)、高齢化などで事業者の負担が増える中、制度の見直しの声が挙がっていると、神戸新聞が伝えている。

「現行は夢のようなパス」とも揶揄される敬老パス。高齢化社会が進む中で制度を維持していくには、確かに見直しを含め議論していかなくてはならない。その一方で、制度の条件を厳しくすれば、高齢者ドライバーが増加し、それに伴う事故がさらに増加する懸念も否めない。どのような制度改革が行われていくのか?その取り組みが今後も注目される。

image by:TK Kurikawa / Shutterstock.com

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