さて、核合意を離脱したアメリカは、イラン制裁を復活させ、イランが再び原油輸出できない状況をつくりだしました。イラン経済は疲弊し、我慢できなくなったので、「2か月に1度、段階的に合意を履行しない割合を増やしていく」と宣言した。
しかし、今回のソレイマニ司令官の殺害で、「もはや核合意は全面的に守らない」と宣言した。これは、「イランは、核兵器保有を目指す!」と宣言したと受け取られても仕方ないでしょう。つまり、つい最近まで北朝鮮と全然違ったイランは、トランプのせいで、「北朝鮮化」してしまったのです。このままいけば、イランは核兵器保有を目指し、アメリカの同盟国イスラエルやサウジの巨大な脅威になることは確実です。
どうするか?一つ目の選択肢は、イランの核関連施設を徹底的に空爆し、破壊しつくすことでしょう。トランプは、「イランがソレイマニ司令官殺害に報復すれば、52か所を爆撃する!」と宣言しています。
二つ目の選択肢もあります。それは、アメリカが「事実上」核合意に復帰することです。つまり、アメリカは、対イラン制裁を解除して、原油輸出を可能にする。これで、イランに金が入ってきます。そのかわり、イランは、IAEAの監視下で、「原子力発電はできるが、核兵器は製造できない」レベルの核開発で満足する。
もちろんアメリカにも面子があるので、「核合意復帰」とはいかないでしょう。だから、「事実上」の核合意復帰なのです。
問題は、「アメリカとイランの和解を邪魔する勢力が存在する」こと。トランプは、昨年9月に、これと同様の提案をイランにする準備をしていました。
米、原油禁輸で適用除外検討 対イラン、核で譲歩狙う
共同 2019年9/14(土)17:57配信
【ワシントン共同】トランプ米政権が、イラン産原油の禁輸措置について一部の国・地域の適用除外を復活させる案の検討を始めたことが13日分かった。米政府関係者が共同通信に明らかにした。離脱したイラン核合意に代わる新たな合意を目指す米政権は、イラン経済の生命線である原油への締め付けを緩め、核・ミサイル問題で譲歩を引き出す狙いとみられる。
ところが、この情報が出た翌日、サウジアラビアの石油施設が攻撃され、この話は消えた。トランプは、平和を願っているが、そうさせない勢力がいる。
戦争か、和解か。どうなるのでしょうか?
近い将来はっきりすることでしょう。
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