トランプが追い詰め核保有宣言。イランの北朝鮮化で近づく終末

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先日掲載の「第三次世界大戦は不可避か。米国が戦争を始めるしかない裏事情」でもお伝えした通り、米国によるイラン革命防衛隊司令官殺害により、これまでにないほど緊張感が高まっている中東情勢。トランプ大統領は軍事衝突の道を選択するのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが今後を考察しています。

イラン戦争か、和解か?トランプ決断の時

年始から大きな事件がありました。アメリカ軍が、イランのソレイマニ司令官を殺害したのです。

米軍は3日未明、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」を率いるソレイマニ司令官の車列をイラクの首都バグダッドで空爆し、同司令官ら7人を殺害した。米国防省によると、ドナルド・トランプ大統領が指示したとされる。
(夕刊フジ1月4日)

イランは、「報復する」としていますが、実際何ができるのでしょうか?中東にいるアメリカ軍を攻撃する?すると、アメリカは大々的に報復するでしょうから、自殺行為ですね。ホルムズ海峡を封鎖?すると、イランは、アメリカだけでなく、全世界の国々に迷惑をかけ、ますます孤立します。

わかりやすいのは、「核合意破りを加速」「核開発を加速」させることでしょう。アメリカもIAEAも認めていたように、イランはこれまで核兵器を開発していなかった可能性が高い。しかし、これからは違うかもしれません。「アメリカに司令官を殺害されても何もできない」という無力感から「核兵器開発」に真剣に取り組むかもしれない。

アメリカは、それを放置するでしょうか?そんなことはないでしょう。

すると、案の定、こんな情報がでてきました。

イラン、ウラン濃縮「制限せず」 核合意、崩壊の瀬戸際
1/6(月)4:32配信

 

【ベイルート時事】イラン政府は5日、欧米などと結んだ核合意に伴うウラン濃縮について、全面的に制限を順守しないと宣言した。国営テレビが報じた。イランが段階的に進めてきた核合意の履行停止の第5弾で、最終的な措置という。イランの核開発を大幅に制限した2015年の合意は、崩壊の瀬戸際に立たされた。イラン情勢をめぐっては、同国革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官が3日、米軍のイラクでの作戦により殺害された。これを受け、イランは核合意への態度をさらに硬化させた形で、イランの核開発を脅威と見なす米国との関係悪化がさらに進むのは避けられない情勢だ。イラン政府報道官は、合意で定められたイランがウラン濃縮に使う遠心分離機の「数や能力の上限を守らない」と述べた。さらに、核開発に関する研究や開発についても、今後は制限なく行う姿勢を示した。

「イラン政府は5日、欧米などと結んだ核合意に伴うウラン濃縮について、全面的に制限を順守しないと宣言した」だそうです

先日の記事で証拠を提示してお話しましたが、イランと北朝鮮は全然違います。北と違いイランは、「核兵器を開発すると公言したことは一度もありません。そして、アメリカ政府も、IAEAも、「イランは核開発していない」と認めていた。

さらにイランは2015年、「IAEAの監視下で、核開発を制限しなさい」「見返りに制裁を解除する。原油輸出できるようになるよ」という「核合意を嬉々として受け入れたのでした。IAEAの査察を受け入れるところが、北とは全然違います。つまり、2015年時点でも、イランは「核開発より、原油輸出の方が大事」と考えていた。

ところがトランプは2018年5月、このすばらしいイラン核合意からの離脱を一方的に宣言した。他の参加国、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国、イランはあきれました。これは、トランプのあきらかな戦略ミスであり、今起こっている危機は、すべて彼が原因です。

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