麻生太郎副総理兼財務相は13日、日本について「2千年の長きにわたって、ひとつの民族、ひとつの王朝が続いている国はここしかない」と発言したと、毎日新聞、朝日新聞などが報じた。2019年4月には、法律として初めてアイヌを「先住民族」と明記し、独自の文化の維持や復興に向けた交付金制度を創設する「アイヌ民族支援法」が成立。政治や自治体の責任で産業や振興にも取り組み、アイヌの人々の差別解消に向けた取り組みや支援を行なっている。今回の麻生氏の発言は矛盾していることになり、日本のネット上にはさまざまな意見が投稿されていた。麻生氏は14日午前の記者会見で、発言について「誤解が生じているならおわびの上、訂正する」と謝罪した。
麻生太郎氏「日本は2千年、一つの民族」政府方針と矛盾 https://t.co/f6vHHW0RZU
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) January 13, 2020
アイヌ民族法とは
正式名称は「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」。「先住民族」への配慮を求める国際的な要請の高まりに応えてできたもの。アイヌ政策推進本部が策定した基本方針に基づき、市町村が文化、産業、観光復興のための地域計画を作成すると、関係事業に交付金が支出される。
麻生氏、過去にも似た発言
麻生氏は13日の国政報告会で、昨年のラグビーワールドカップの日本代表チームの活躍について触れた後、記事冒頭の発言を述べた。麻生氏は2005年にも「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにはない」と発言し、当時の北海道ウタリ協会から抗議を受けていた。