韓国「脱日本化」の巨大ブーメランを食らった安倍政権の自業自得

2020.01.28
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モノづくり日本の強みを投げ捨てる?

21世紀、日本は一体どちらを向いて生きていくのかについて、本誌は繰り返し、太平洋の向こう岸ばかり見ていた20世紀はもう終わり、これからはユーラシアに向かわなければと主張してきた。日韓中の連携を軸として中国とインドが牽引する21世紀ユーラシアの大繁栄に噛み込んで行くことこそ、本当の成長戦略であって、「アベノミクス」のように一国資本主義的に国内だけを覗き込んで鍋底の残り物を漁るようなことをしても、何も起きない。

しかも、日本がユーラシアの旺盛な需要に関わってそこから元気を環流させる実体的な回路は、すでにでき上がっていて、それが日本にまだ多く残っている高度な「モノづくり」の力を頂点とする垂直分業的なサプライチェーンである。日本の輸出の圧倒的大部分はそのような資本財およびそれに準じる工業用素材であることは、日本関税協会の貿易概況の「商品特殊分類別輸出」を見れば明らかである。

2017年の輸出総額78兆2,865億円のうち資本財39兆7,732億円、さらに工業用原料18兆1,523億円を足すと57兆9,254億円で総額の74%に達する。そのすべてがそうであるとは言えないが、多くは日本でしか作れない、もしくは日本のものが一番品質が優れていると高評価を得ているハイテク製品や超精密加工部品や高性能素材などで占められていて、つまり日本は「高度資本財供給国」として世界貿易の中で独自の立場をすでに作り上げている。それは実体的には、日本で作られた高性能素材や部品などを韓国や中国などが輸入し、それを用いて製品の核となる重要中間部品などを生産し、それを中国やベトナムやミャンマーやバングラデシュなどに輸出して大量生産により消費財としてアジア域内や米欧市場に供給する立体的なサプライチェーンとして発展しつつある。ここに生きる道があるということを全く理解していないどころか、それをブチ壊すような愚行に出ているのが安倍政権である。

米国の対中国強硬派も自損行為

今井補佐官がこんなことを思いついたのは、米トランプ政権が盛んに「経済制裁」を振り回し、それをもっぱら外交の武器にしているのを見習おうと思ったのだろう。そのため、昨年9月の人事改造時に国家安全保障局(NSC)の局長が交代したのに乗じて同局内に自分の手先となる「経済班」を新設させた。しかし、上述のように3品目を制裁の道具にして韓国を相手にお試しをやってみたところが、何と320品目の対韓国輸出品目を失う羽目となったのである。

そもそも、この強度に相互依存するグローバル経済にあって、相手国にだけ打撃を与え、自国にも同盟国など他国にも迷惑にならないような、都合のいいピンポイント効果のある経済制裁などあり得ない。トランプ政権内で最も強硬な嫌中派の巣窟である商務省は、米企業が製品をファーウェイに輸出する場合、その製品に組み込まれている米国製の部材やソフトが「25%以下」であれば同省の許可なしに出荷できるとしている現行ルールが抜け穴になっているとして、これを一層厳しくし「10%以下」に改定しようとしている。ところが、米WSジャーナル24日付によると、この改定に反対しているのは、何と、国防総省。その理由は、中国への禁輸を厳しくすればするほど、米企業の売り上げが減り、研究開発への投資余力が失われ、巡り巡って国防上のマイナスが生じるということである。また対中取引のある米企業の多くも、商務省の突出した行動に反対を表明している。

内田樹がAERA2月3日号のコラムで書いているように、近頃米国のメディアには「中国恐怖(China Scare)」という表現が出てくるようになった。これはもう理も非もない嫌中病で、米政府内ではホワイトハウスの一部と商務省がこれに冒されている。ところが、それに対し国防総省のほうがまだ軍事的リアリズムを失っていないのでだいぶ冷静だということなのだろうか。日本政府にはそれほどの「中国恐怖」はないが、「韓国侮蔑(Korea Contempt)」の病は政治中枢にまで感染していて、それゆえこのような国益毀損を招くのである。

image by:  대한민국 청와대- Home | Facebook

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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