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新型肺炎を予知か。2015年にビル・ゲイツが各国に出していた警告

日本各地で感染者発見が相次ぎ、「新たな段階に入った」とされる新型肺炎問題。世界的大流行も懸念されていますが、かつてMicrosoftと関わっていた方々の間で、ビル・ゲイツ氏の「2015年の予言」が話題となっているようです。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、自身もかつて同社に所属していた世界的エンジニアの中島聡さんがその内容を紹介するとともに、新型ウイルスを生物兵器とする説が拡大してしまう理由を考察するなど、多角的に新型肺炎を取り上げています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2020年2月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

新型肺炎

新型肺炎に関して、私も色々と調べています。日本のマスコミが報道するようなことを繰り返しても意味がないので、少し違うアングルからのものを紹介します。

私の知り合い(元Microsoftの連中)の中では、ビル・ゲイツが2015年に行った TEDスピーチ(「Bill Gates: The next outbreak? We’re not ready」)が、まるで今回の事件の予言のようだということが話題になっています。ビル・ゲイツは、それほど被害が広まる前に沈静化に成功した「エボラ熱」と比べ、感染した人が自覚症状もないままに他の人に病原菌を広げてしまうような伝染病の方がずっと怖く、そのための準備をしておくべきだと各国政府に警告していたのです。

今回の事件に対する対応を見ると、検査体制・隔離施設・危機管理などで国ごとに大きな差が見られますが、まさにビル・ゲイツが必要性を訴えていたような体制を整えていた国とそうでない国の差が出ているのだと思います。

ちなみに、不幸中の幸いなのは、それほど死亡率が高くないことです(2%程度)。万が一、強毒性の鳥インフルエンザが、人から人への感染能力を持ってしまい、それが今回のように広まりだしたら、大変なことになります。

コロナウイルスの寿命『ドアノブや机で最長9日間』独研究」という報道は、今回の新型肺炎の予防に関してとても重要な情報だと思います。先週も書いたように、コロナウィルスの主な感染経路は、ウィルスの付着したドアノブやつり革を触った手から口・鼻・目を通じて体内に取り込まれる経路です。

付着したウィルスが9日間も感染力を維持するということは、ドアノブやつり革に触った手にはウィルスが付着していると考えた方が良いことを示しています。

日本でも株価に影響が出ているでしょうが、米国の株は今回の件にはとても敏感に反応しています(参照:「Stocks close lower amid rise in coronavirus outbreak」)。1番の理由は、中国が「世界の製造工場」になっているためで、伝染病のために工場が止まるなどすれば、米国の経済に深刻な影響を与えかねません。

興味深いとこでは、インド人の研究者が、新型コロナウィルスの遺伝子解析をし、そこにAIDSを引き起こすHIVウィルスと同じ配列があることから、人工的に作られたウィルスである可能性が高いと結論付け、ネットで話題になりました(参照:「Uncanny similarity of unique inserts in the 2019-nCoV spike protein to HIV-1 gp120 and Gag」)。

この件は、その後すぐに、多くの専門家が、この論文には信憑性がないことを指摘し、この「バイオウェポン説」は下火になりました。

ところが、今度は別の研究者がウィルスには人工的痕跡があると指摘し(参照:「欧州のウイルス専門家、新型コロナウイルスに『消すことのできない人工的痕跡』」)、再び「バイオウェポン説」が復活しているようです。

この「バイオウェポン説」が、信憑性を帯びて広がってしまう理由の一つが、武漢市にある武漢国立生物研究所です。ここは、中国科学院武漢ウィルス研究所が管理する危険な病原体の研究をする施設(バイオセイフティレベルが最も厳しいレベル4)です。

今回の新型肺炎が武漢市から発生したこともあり、この研究所で開発していたバイオウェポンが間違って漏れ出してしまったに違いない、という憶測が広がっているのです。

中国・武漢市での新型肺炎感染者の死亡率は4.06%」という記事は、新型肺炎にかかった人の死亡率が、武漢市では4.06%、天門市で5.08%、湖北省を除いた中国国内の死亡率は0.16%と大きな偏りがあるとする中国の衛生当局の発表を紹介しています。

Fear and Boredom Aboard the Quarantined Coronavirus Cruise Ship」というWall Street Journalの記事には、ダイアモンド・プリンセスに閉じ込めれた乗客たちに関する記事ですが、米国政府はこれを見かねて、米国人乗客を引き取り、チャーター便で自国に連れ帰ることに決めたことが記されています。この件に関しては、各国から日本政府のやり方が「非人道的だ」と批判を受けていますが、単に批判するだけでなく、自国の国民を「救出」する米国政府の機動力には見習うべき部分が多いと思います。

柔らかいところだと、中国でリモートワークが増えた結果、色々なことが起こっていることを伝えている「新型コロナウイルスで“2億人リモートワーク”の中国、『パジャマでビデオ会議』ミス続出でネットに笑いが戻る」という記事や、これを機会にオンライン教育の仕組みを懸命に売り込んでいる企業を紹介している「2.7億人が自宅学習『授業は中止、勉強は中止せず』中国」という記事が目にとまりました。

今回の事件をきっかけに、満員電車や人混みを避けるライフスタイルを選ぶ人が増え、それがリモートワークやオンライン教育の仕組みに進化圧を与え、本当の意味での「働き方革命」「教育革命」が中国で(そして、ひょっと知ったら世界的に)起こる可能性が十分にあると感じました。

image by: JStone / Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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