新型肺炎から国民も守れず。不穏な空気が漂う五輪目前のニッポン

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後手に回るばかりか小出し対策ばかりで、新型肺炎感染防止に大胆な策を取れない日本政府。クルーズ船内の実態告発なども重なり、海外からは「中国の隣で感染者が増加し続けている危険な国」という評価が下されているようです。今回の無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』では情報戦略アナリストの山岡鉄秀さんが、リンピックホスト国としての危機管理意識が決定的に欠けている日本の現状を厳しく批判しています。

新型コロナウィルス-日本人の発想に欠落していること

全世界のアメ通読者の皆様、山岡鉄秀です。

新型コロナウィルス、とうとう日本も国内流行期に突入したようですね。これからどこまで感染が広がり、重篤者や死者が出るか、予断を許しません。

この状況に至っても、日本政府は中国の湖北省と浙江省からの入国制限しかしていません。なぜ諸外国と同じように全中国からの入国を禁止しないのかという声が様々な方面から挙げられています。

一方、入国制限はしなくてよいと主張する専門家の方々もいらっしゃいます。

「入国制限という方法自体がたいした効果をもたない」
「すでにウィルスの侵入を許してしまっているから、今からやっても無駄」

専門家の方々はもちろん専門的見地からそうおっしゃっているのでしょう。

では、仮にそのような主張が正しかったと仮定しましょう。

日本は今現在でも、前述のように限定的な制限しかしていません。そして、感染者の数は日々増えています。

世界はすでに日本を疑いの目で見ています。

「日本はなんで対応がこんなに遅いんだろう」
「日本はなんで限定的な(無駄な)入国制限しかしないんだろう」
「日本に行くの危ないよね」

アメリカ在住の友人によると、テレビでこのように話していたそうです。

「日本人は目先の利益しか見えない。中国人を入れて、中国以外からの渡航者とオリンピックを失っても構わないようだ」

また悪いことに、ダイヤモンド・プリンセスという豪華客船内で感染者が激増してしまい、それが日本の感染者総数に加算されてしまいました。

さらに、神戸大学の教授が2時間ほど乗船して、「日本政府のハンドリングは中国やアフリカよりも酷くて恐怖を感じた。自分は追い返された」とYoutubeで日本語と英語で発信してしまいました。世界中で大拡散され、これで日本政府への信頼は地に落ちました。

さあ、今こそ日本政府の挽回のチャンスです。官房長官か総理大臣が宣言してみましょう!

「もう無駄なので、効果のない入国規制は一切やめて、通常のインフルエンザとして対処します」

だって、専門家の意見は合理的根拠があるんですよね?

「うわああああああああああ」

世界中から悲鳴のような叫びが聞こえます。

「日本への渡航全面禁止!」
「虎の子の代表選手を日本に送れるかー!」
「オリンピックはロンドンかシドニーで!」
「日本人の入国全面禁止!」

日本の国威は失墜し、経済的打撃は甚大でしょう。三流先進国に転落です。ぐちゃぐちゃになった状態で、習近平国家主席の国賓来日だけは予定通り実現します。

いかがでしょうか?

「入国制限は効果がない」

それはある前提において、ある部分において本当なのかもしれません。しかし、総合的判断が必要なのです。専門の論文を読んで日本に旅行するかどうか決める人はいません。

残念なことに、日本政府はオリンピックのホスト国であることをすっかり忘れてしまったようです。オリンピックホスト国であれば、ことさら厳重に危機管理ができることを全世界に向けてアピールしなくてはならなかったのです。

間違っても、管理が緩くて感染者が多い国として突出してはいけません。

その意味で、このような有事に際しては、専門家の意見は参考にしながらも、まずできることは全部やって、走りながら考え、効果は後で検証する、という切り替えが必要なのです。(だったのです)

いつも思うのですが、日本人の発想には往々にして、世界にどう受け取られるか、世界にどう見られているか、世界がどう反応するか?という視点がすっぽり欠落しています。

それゆえにこれまでどれだけ国益を失ってきたかわかりませんが、今回は命取りになってしまうかもしれません。

この原稿を書き終わったまさにその瞬間、在米の友人からメッセージが来ました。

Facebookにログインした途端、アメリカ疾病予防センター(CDC)から、「中国と日本には行かないように」というメッセージが入ったそうです。

恐れていたことが現実となりました。

(山岡鉄秀:Twitter:https://twitter.com/jcn92977110

image by: glen photo / Shutterstock.com

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【著者】 アメリカ通信 【発行周期】 週刊、不定期

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