NY在住日本人社長が日本人ビジネスマンに問う「ゴールはどこ?」

 

ただ、日本人が英語を勉強する理由はなんでしょう。ゴールはどこでしょう。人によっては、編入を希望する大学のTOEFLのスコアの為とか、TOEICでハイスコアをとってサラリーを上げる為、という人ももちろんいるでしょう。でも、外国語の習得の基本ゴールって「他言語の外国人とコミュニケーションをとる」為、というのが、最も基本的な目標ではないでしょうか。

彼女が英語の勉強するのは、アメリカ人とコミュニケーションをとる為という最大の目的があることを僕は知っています。たとえて言うなら。たとえば、として。「ハーレムの教会で、現地のニューヨーカーの前で、彼らに愛された故人を偲んで、心のこもったスピーチをして、彼らに喜んでもらう、泣いてもらう」言ってみればそれがゴールなのでは?

その為にこそ、英語を習得するのではないでしょうか。あえて言うなら、そのリザルト(結果)の前に、RとLの発音なんてどうでもいい。どうでもよくないかもしれないけれど、どうでもいい。

会議を減らそうという趣旨の会議をする、という笑い話があります。会議、それ自体が目的ではなく、会議には、会社を潤わすという最大の目的があるはずです。

日本人は、僕も含め「結果より、その過程が大切だ」と言われ、育てられてきました。もちろん、1000%賛成です。その通りだと思う。でも、あまりに、その言葉を生まれてこのかたずーっと聞かされ続けてきて、「結果なんてどうでもいい」と無意識にでも思わされていないだろうか。

条件ばかりに話が集中。会議のための会議

日本の大手飲食店がニューヨークに進出する際に、コーディネートをした時、あまりにいい物件が掘り出し物として出てきました。どう考えても、手付金だけでも払って、この物件を抑えた方がいいと僕は判断しました。

日本側の窓口の担当さんは「まずは、その店に面したストリートの通行量と、そのエリアの趣向を調べてレポートにまとめてください」の一点張りでした。物件を抑えるのはそのレポートの提出後、それを元に日本側で会議に会議を重ね、検討に検討を重ね、稟議に稟議を重ねた後だ、と。

お客様なので、言うことを聞くしかない。結果、その物件がなくなっても、それはそれで仕方がないと言います。僕たちはその窓口の担当の彼が気に入りそうな、「アメリカ人でも使わないビジネス英語」をできるだけ多く使用してレポートを作成しました。

「ホント、いいのかなぁ、こんなことやって」と多少の罪悪感を感じつつ、ポテンシャルターゲットにリーチするアトラクティブなプロダクトをスタッフみんなでブレインストーミングしつつ、メイクドラマしてオブザーびんぐしていきますとか、なんとか、かんとか。彼の上司の社長から電話がかかって「そんなことやってないで、とっとと物件抑えてよ!」と言われるまで。

どうして、ぶれいんすとーみんぐして、メイクドラマして、オブザービング、するのか。表紙がキレイでナウでスタイリッシュでとれんでぃなレポートを作成するのか。リザルト(目的)はひとつ、「ニューヨーク進出を成功する為」です。コンディション(条件)はコンディション(条件)でしかない。日本に出張に行くと、みなさん、この条件の方ばかりに話が集中している印象を受けます。

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