医療崩壊が招いたコロナウイルス感染
AP通信によると、イタリアでの死者の平均年齢は81歳。大半が以前から何らかの病気を患っていたといい、多くが院内感染だという指摘もある。
イタリアはこれまでに新型コロナの検査を5万4千件以上行ってきた。感染者を確定させる狙いだったが、軽症の患者も徹底的に検査した影響で病床が満杯に。医師や看護師の不足に拍車がかかり、感染が一気に広がった可能性があると日本経済新聞が伝えている。
米ブルームバーグ通信は世界保健機関(WHO)関係者の話として「検査をやり過ぎて害を及ぼしたようにみえる」と伝え、無症状の人は自力で回復できた可能性があると指摘した。
広がるヨーロッパの感染拡大
イタリアで新型コロナウイルスの感染が拡大する中、イタリアと国境を接している隣国オーストリアでも10日、感染者が前日より50人以上増えて182人となるなど、広がりをみせている。こうした中、クルツ首相は10日に記者会見を開き、イタリアからの入国を原則、禁止すると発表。域内の移動の自由はEUにおける重要な理念だが、事実上、国境を閉鎖する対応を取った。また、エールフランスなどヨーロッパの航空会社を中心にイタリアへの運航取り止めも相次いでいる。
ヨーロッパではイタリアに続き、フランスやスペインでも新型コロナウイルスの感染の拡大に歯止めがかからない状況だ。
NHKによると、フランスでの感染者数はこれまでに1784人とイタリアに次いで多く、死者も33人に上っている。隣国のスペインでは、感染者が前の日に比べて400人以上増えて1639人となり、死者も36人となっている。他にもドイツで感染者が1000人を超えるなどヨーロッパでは感染が広がるばかりだ。
そんな中、イタリアのディマイオ外相は10日、中国の王毅外相と電話会談し、中国で最初の感染ピークに対応した医師団をイタリアに派遣することで合意したと地元テレビに明らかにした。