全米に悲鳴。ロックダウンで医療崩壊回避も経済崩壊を招く悲劇

 

米国の人口は約3億3,000万人なので、集団としての十分な免疫力を持つためには、少なくとも1億5,000万人の人が感染する必要があります。その場合、致死率を0.6%と見積もっても、100万人を超える死者が発生する計算になります。医療崩壊が起きれば、致死率は2~3%に上昇するので、その場合の死者は300万人を超えることになります。

そんな状態を避けるために、州単位でのロックダウンを行い、それにより感染拡大のスピードを落とすことを試みているのです。しかし、残念なことに、それにも関わらず、

  • 医療崩壊が各地で起きている
  • 経済に大きなダメージを与えつつある
  • 集団的免疫を得られるわけではないので、その後も気を緩めることが出来ない

という非常に厳しい状況なのです。

今のロックダウン状況をこれ以上続けると、経済に修復可能なダメージを与え、街に失業者が溢れることにまります。

本来ならば、「(多少の犠牲は覚悟して)どうやって医療崩壊と経済崩壊の両方を避けつつ、集団的免疫をどうやって得るか」とう戦略を政治家は考えるべきなのに、イギリスが一度そちらに舵を切ろうとした時に世論が許さなかったこともあり、政治家たちも八方塞がりになっているように私には見えます。

このままだと、各地でのロックダウンはしばらく続き、それによる経済崩壊を避けるために連邦政府は2兆ドル規模の財政支出を何度も行わなければならなくなり、結果として、米国は日本に匹敵する(もしくはそれ以上の)借金大国になってしまう可能性が高いとすら思います。

image by: 4kclips / Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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