新型コロナウイルスの感染による死者がヨーロッパで最も多いイタリア。アメリカが世界で一番感染者が多い国になってから、あまりイタリアの現状が報じられなくなっているが、減少するどころか増え続けている。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、イタリアの感染者数は18万人を越え、2万4000人以上が死亡している。
ロックダウンの効果が薄いイタリア
イタリアの20日の死者数は454人で、前日よりもわずかに増えている。これでも小幅になったというが、21日現在で死者数合計が263人の日本とは比べ物にならないほど多い。イタリアは全土封鎖を行っており、5月3日まで全国ロックダウンが続く見込みだが、期待されていたほど状況は好転していないのが現状だ。
ただ、20日に確認された感染者数は、アウトブレイク(大流行)が始まって以来初めて減少したといい、イタリア市民保護局の長官は「初めて前向きな進展があった」と述べている。
移民を船の上で隔離措置
そんなイタリアで、ウイルスへの対応に追われているにも関わらず、アフリカからの移民や難民の流入が続いているという。平時に比べれば数は減っているものの、依然としてイタリアを目指す人たちが後を絶たない。
そのため、イタリア政府は今月、国内での感染の拡大を防ぐため、移民などが乗った船が港に接岸することを禁止。感染の拡大を防ぐため、船の上で隔離する措置を取っているという。
新型コロナウイルスの感染による死者がヨーロッパで最も多いイタリアでは、ウイルスへの対応に追われる中でもアフリカからの移民や難民の流入が続いていて、感染の拡大を防ぐため船の上で隔離する措置がとられています。https://t.co/Tlv0AukQio
— NHK国際部 (@nhk_kokusai) April 19, 2020
接岸できないことで、移民や難民は海の上で、政府が用意した船に乗り移り、およそ1か月間にわたって隔離されることになった。
これに対し、救助にあたっているNGOなどからは、イタリアへの入国を事実上、阻む措置だとして、新型コロナウイルスに対応する中でも移民や難民の人権を尊重し、上陸を認めるべきだという批判の声が上がっている。