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ボディメイクのプロに聞く。「そもそもホルモンって何ですか?」

体作りにのめり込んでいくほどに、人体への興味が湧いてくるのは自然な流れのようで、メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』の読者から届くさまざまな質問の中にもその類のものがあります。今回は、体内で作られるホルモンについての疑問に、ボディメイクのプロでサプリメント開発の専門家の桑原塾長が答えます。

ホルモンについて語る

Question

ホルモンには色々な種類があると思いますが、いったい何から作られているのでしょうか。糖尿病の患者さんが打つインスリンとドーピングなどの男性ホルモンはまったく別のものだと思いますが、その材料も違うのでしょうか。そもそもホルモンって何ですか?(27歳、男性)

桑原塾長からの回答

少しだけ専門的な説明になります。ホルモンには、一応、定義があります。体内の限られた場所で作られた化学物質で、血液を介して運ばれて行き、限られた器官に対して微量で作用するというものです。しかし実際は定義に当てはまらないホルモンもあったりして、その境目は曖昧といえます。

ホルモンは体内で様々な情報を伝達する役割を担っていますが、似たような役割をしているのが神経と神経伝達物質があります。どれも体内で情報を伝える役割という点においては同様ですが、そのスピードや作用する標的器官に違いがあります。

まず神経は伝達が瞬時になされます。携帯で電話をかけるようなイメージでしょう。そして神経伝達物質(神経内分泌)は、電話と同様にすぐに伝わるもののそれがきちんと作用するか否かは神経伝達物質がきちんと反応するかによります。いわばファックスのようなものかもしれません。連絡は届いていても、それが目的の人にきちんと渡されるのに時間がかかるケースがあるのです。

そしてホルモンですが、これは郵便物で送られてくるダイレクトメールのようなイメージです。届くのにも電話などに比べると瞬時ではないという点と、仮に届いたとしても封を開けずに捨てられてしまう可能性もあります。つまり特定の器官にしか作用しないのです。

またサイトカインと呼ばれる物質も、実質、ホルモンと同様ですが、こちらは特定の器官で作られず作用も局所的という事でホルモンとは定義的には若干異なるのですが、実際の働きはホルモンと同様なので一緒に考えられているケースもあります。

ホルモンはざっと100種類程度あると言われていますが、大きくタイプ分けをすると作られている原料によって3つに分類されます。それは、ペプチドホルモンと、ステロイドホルモンと、アミノ酸誘導体ホルモンです。

ホルモンは大きく3分類。その材料は?

ペプチドホルモンはアミノ酸が繋がった状態で構成されているホルモンです。ホルモンの種類によって繋がっている数はまちまちで、例えば「甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン」というホルモンはアミノ酸が3個繋がった状態ですが、成長ホルモンは191個も繋がっています。

ご質問のインスリンもロイシン、グリシン、アラニンといったアミノ酸が中心になって繋がった状態にあり、このペプチドホルモンに分類され、膵臓から分泌されています。

ステロイドホルモンは大元の材料は脂質という事になり、ストロイド骨格と呼ばれる共通の骨格をもったホルモンです。男性ホルモンや女性ホルモンといった性ホルモンが代表的ですが、他にも副腎皮質ホルモンもステロイドホルモンです。

いずれも脂質から最初に作られる物質はプレグネノロンというホルモン(の前駆体)ですが、そこから少しずつ構造を変えて男性ホルモンにも女性ホルモンにもなります。そのため多くのステロイドホルモンは化学構造が似ているのですが、及ぼす作用はまったく異なります。それはそれぞれのホルモンに結合する受容体が、そのわずかな違いを見分けているからです。

アミノ酸誘導体ホルモンとは元はアミノ酸から作られているホルモンで、代表的なものとしては甲状腺ホルモンやアドレナリンです。これはチロシンというアミノ酸が原料となっていますが、そのチロシンはフェニルアラニンからも作られます。またチロシンは同様にドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の材料ともなっていて、これらもアミノ酸誘導体に含まれることからホルモンとして考えらえる事もあります。

他にもアミノ酸ではなく脂肪誘導体によるものがあり、これをプロスタグランジンと呼んでいるのですが、同様にホルモンとして扱う事もあります。プロスタグランジンはアラキドン酸というω-6系の脂肪酸からつくられています。

このようにホルモンは体内で合成されているものですが、治療などの目的以外に外から取り入れるとドーピングの対象になります。微量で大きな作用を発揮するのがホルモンですから、医師の判断無しに取り扱う事もNGです。私たちが自分の判断だけで自由に体内に取り入れていいのは、焼き肉のホルモンだけです!(^^)!

image by: shutterstock.com

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桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

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