新型コロナウイルスの感染拡大以来、連日会見を開き、都独自の支援策やキャッチフレーズを駆使し胸を張る小池百合子都知事。その姿を計算高いパフォーマンスと指摘するのは、『アクセスジャーナル・メルマガ版』著者でジャーナリストの山岡俊介さんです。山岡さんは、五輪開催延期決定前後からの小池都知事の水面下の動きを伝え、都知事への再戦どころか女性初の首相を狙うシナリオを明らかにしています。
※この記事はメルマガ『アクセスジャーナル・メルマガ版』2020年5月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
小池都知事本人が出演のTVCMに都税9億
緊急事態宣言の出た翌4月9日から民放6局が1時間に1本のペース(アルタ前など都内9カ所の街頭ビジョンでも)で流していた、「東京都知事の小池百合子です」で始まる、東京都が作成した新型コロナウイルス対策用のTVCM――。
一部マスコミが都税9億円も使って、小池氏は7月5日投開票の都知事再選のための前宣伝をやっているのではないかと噛みついたが、その指摘の通りだろう。都はこうした批判に、関係法令に抵触しないし、放送局側から小池氏が出演しないCM要請などないと答えていた。
だが、コロナ関連の小池氏のこの出演CMは4月18日までで打ち切られ、以降は、人気ユーチャーバーのヒカキンら4人が呼びかけるバージョンに変更された。この18日は、都知事選の公示(6月18日)の2カ月前。民放連の放送基準で禁止されている「選挙事前運動」のリミットがまさにこの2カ月前なのだ。
『週刊文春』も、このコロナ関連TVCMを出す際、小池氏自身の出演が条件となっていたというが、本紙も広告代理店筋から同じことを聞いており、小池氏がこうした批判を受けたのは無理もない。
あれだけ自民党と対立していたのに、東京五輪の1年延期が3月24日に決まるや、27日には対立する都議会自民党が3年ぶりに都の20年度予算に賛成。世界保健機関が新型コロナをパンデミックと認定した翌3月12日、小池氏は首相官邸で安倍首相と会い、新型コロナ対策を名目に手打ちした結果だった。
「安倍は自分の首相任期中に何としても五輪をやりたい。小池は小池で五輪が中止になれば今年7月に知事選で不利になるし、1年だけの延期なら来年の都議選で、小池与党の『都民ファ─ストの会』はオリンピックムードの中で戦える。そもそもコロナ騒動がたった1年で終わるわけがない。延期なら2年後が常識。これ1つ見ても、安倍も小池も国民の命より、自分の保身のためであることは明らか」(永田町筋)
総理をターゲットにする小池都知事のシナリオ
しかも、小池氏の計算高いところは、自民党と手打ちしながら、否、だからこそ一転、今度は突如、「ロックダウンすべき」と言い出したことだという。
「それが3月23日。五輪1年延期の正式決定は翌24日だが、ロックダウンを言い出した同日のその前に五輪1年延期は決定していた。すると、手打ちした以上、この程度では問題ないと、今度は自分が主導権を取って政府に緊急事態宣言を急かす。
かといって、あくまで自分がいかにやっているのか目立たすためのパフォーマンスに過ぎないから、結局、経済優先の政府側に妥協して中途半端な自粛とし経済的補償はないがしろに。小池は都は1店舗50万円の協力金を出すと胸を張るが、イギリスは300万円、それに従業員給与3カ月8割補償、法人税1年タダですよ」(事情通)
とはいえ、CMの件を含めた目立ちたがり屋の行動で、本当の事情を知らない都民の人気は上がり、かつ、自民党との手打ちもあり、もはや次期都知事選は小池氏再選で間違いなしと見られている。だが、小池知事も今年7月には68歳を迎える。もう1期4年、都知事をやってから国政復帰では遅すぎると、ここに来て永田町周辺で囁かれているのが次のような国政復帰説。
「すでに二階俊博自民党幹事長とは3月半ばに手を結んでいる。この間、都の協力金を非課税にとか、PCR検査の態勢強化などを二階氏に直にお願いしているのもそういう関係故。しかも、その関係は安倍首相の任期が切れる来年9月までに総選挙があれば、その際に知事を辞め衆議院選に立候補し二階派に入るという密約付きとも。二階派はめぼしい後継者がいない。で、小池氏が会長に……」(同)
そして、女性初の首相を目指すという。実際、ポスト安倍に小池氏が急浮上する可能性があると見て、すでに小池氏のスキャンダル捜しを始めているとの情報も出ている。もっとも、野党側とて野党共闘を前提に、小池氏に対抗できるタマを必死で今も捜しているのは事実。そして万一、小池氏が落選すればその目は消えて当然。
すでに前川喜平元文科省事務次官、田中優子法政大学総長に断られているが、そもそもこの2人では当選は無理。もっと国民誰もが知るメジャー有名人として山口百恵、安室奈美恵なんていうのは冗談としても、「スポーツ界のレジェンドのK、某大手運動組織トップのK、さらに大女優のY。Yなんか、自公分裂となれば当選の可能性は最も高いでしょう」(野党の中心部隊筋)
(※メルマガ『アクセスジャーナル・メルマガ版』2020年5月11日号より一部抜粋)
image by: 小池百合子公式Facebook