夫婦仲を維持するために
夫婦の間で、あまりにも格差が広がってしまうと、会話が成立しなくなって段々と冷めていってしまうよね、という話を前回したところです。
ケース分けしてかんがえてみると、ひとつはお互いの趣味嗜好が混じり合っているというケース、もうひとつは隔絶しているケースがあります。前者は、お互いが同レベルで進化、進歩するという仕組み、仕掛けを考えなきゃならないということです。ギャップが開いたら、気まずくなりますから。
後者については、早い段階で両者が歩み寄ることを考えなきゃならないんです。あれは相手の趣味だから、オレには関係ないという態度が進むと、ドンドンと会話のネタがなくなります。たぶん今が一番近い距離にいるんじゃないですか。3年も経って相手が先に進んだら、会話の糸口すらなくなりますよ。
だから我が家では、家人も2年遅れでピアノを習いだしたんです。趣味嗜好を混じり合わせるために。そうなるための線路を、少しずつこちらに引き込んで行ったんですよ。強制せず、なんとなくやってみたいと思わせるためのレールを、慎重に時間を掛けて、枕木を置くところからやり続けたんです。家人は音楽じたい、ほとんど聴かない人だったので、まずはそこから。どうやったら好きな曲を見つけられるのか、どんなジャンルの音楽ならハマりそうなのかなんてことを、結婚してからずっと相手を観察しつつ考えていたんです。
これは偶然じゃ無いんですよ。私は狙ってやったの。そこまでにスゴく時間と手間が掛かっているの。だってそうしないと、仲良くなれないでしょ。共通の趣味になった方が、もっと会話が増えるじゃないですか。
それはお互い様のところがあって、家人はガーデニングが好きなんですよ。私は一向に興味が無かったわけ。私は食べられない植物には興味が無かったの。だから野菜やお米には興味があるんですけどね。でも見るだけで食べられないモノは、どうでも良かったんですよ。
で、田舎暮らしを始めて、家人が庭にあれこれと植物を植え始めた時に、ちょっと考えたわけです。ここで完全無視をして、勝手にやればと言ってしまったら、3年後、5年後に面倒なことになるぞと。バラなんて5年後はもっと大きくなっているわけですから。おまけに家人は、毎月毎月NHKの『趣味の園芸』を買い続けているわけですよ。今では年間購読していますけど。
だったら早いウチに少しずつ関わっていって、会話が寂しくならないようにしなきゃマズいと思ったんですよ。だから私も、冬に私もバラの剪定を手伝ったり、春にはモッコウバラの誘引とかを一緒にやるんです。それはやりたくないって言ったらダメなの。話を合わせられるレベルを維持する必要があるんですから。ちょっとで良いから、相手の趣味嗜好に関わるような行動をするの。
そうすると相手の楽しい気持ちが少しだけ共有できるわけ。
▼ 今年もいっぱい花が咲いたら良いね
▼ これだけ雑草を取ったらスッキリするね
▼ モッコウバラは将来が楽しみだね
みたいな会話もできるわけですよ。これが夫婦円満の秘訣なんです。お互いが、
■ 自分には関係ないよ
って考えるから、ドンドンと会話が減っていくの。もちろん家人の方もそれが分かっていて、楽器をやり出したんだろうと思いますよ。私の敷いたレールに、分かっていて乗って来たの。その程度に、同じレベルの思考ができる組み合わせですから。お互いのレベルが合っているって、そういうことですから。
結婚相手を選ぶ時には、それくらいの未来を考えるモノですよ。脳みそとマインドが離れすぎている人と、長い時間を楽しく過ごせるわけがないんですから。初めはガマンができるかも知れませんが、そんなガマンは3年も続かないですよ。
私たち夫婦を見て、仲が良いですねって言う人はたくさんいるんですが、誰も
● 10年経ってもそんなに仲が良い秘訣ってなんですか?
って訊いて来ないんですよね。その答えがこれですから。
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