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なぜ「多機能」炊飯器の機能をすべて説明すると客は引くのか?

おすすめ製品の良いところを全てお伝えしたい、と思うのは人の常ですが、そんな「好意」が逆効果となってしまうこともままあるようです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、「全てを伝えようとする接客」がお客様の買う気を削いでしまう危険性を指摘するとともに、本当に伝えるべき情報の見極め方をレクチャーしています。

すべてを伝えきらないことも

家電のような機能性の高い商品を販売しようと思う時には、大きなポイントがあります。

全ての機能を伝えきらないということです。

これはお客様による話なので、全てが一概にそうだとは言い切れないことではありますが、機能性の高い商品を販売する際には、往々にしてこれが功をそうすることがあります。

どういうことかと言いますと、例えば、炊飯器という商品があります。最近の炊飯器はそれはもうとんでもない機能が山盛りでして、ただお米を炊くというだけのものではなくなってきています。魚料理が簡単に作れるものもあれば、ケーキが作れるものだってあるわけです。

このような炊飯器を販売しようとする時、お客様に対して、

「この炊飯器なら、お米が美味しく炊けるだけじゃなくて、魚料理も簡単にできますよ」

「さらにケーキも作れますし、煮物だって上手に炊くことができます」

「お米の炊き方も種類が選べて、ここをこう操作すると、柔らかい炊き方が向いているお米用の炊き方に、こう操作すると、こういうお米に向いた炊き方にすることもできます」

「他にももっと面白い機能があって…」

みたいに、その炊飯器の持つ全ての機能を紹介しようとばかりに教えてくれる販売員の方に出会うこともあります。

ただ、商品の魅力を伝える存在である販売員の仕事としては、評価すべきことだと思いますが、問題は、お客様が本当にその説明で魅力を感じてくれるかどうかです。これだと場合によっては、「面倒くさそう」「私には使いこなせなさそう」というハードルのようなものを感じてしまい、買おうという気にならなくなってしまう可能性も出てくるからです。

読者の皆さんでも、自分があまり詳しくないジャンルの商品について、延々と機能の説明をされていると想像してみてください。

スマホが出始めの頃には、誰も使い方をよくわかっていなかったはずですが、その当時に、ストレージの使い方はこうだとか、クラウドに上げるとこんなに便利なんだとか、いろんな説明をされていたとしたら。まず、「スマホは無理」と投げ出していたことでしょう。

実際、アップルがiPhoneの販売をする時に、「これは電話だ」と消費者に伝えたことで売れたという話は有名ですが、これはまさに今回の話を代弁してくれている逸話だと思います。要は、たとえどれだけ機能性の高い商品でも、それが難しいもの、使いこなせないものだとお客様に捉えられてしまっては、買う気を削いでしまうということです。

だったらどうするべきなのか。

答えは簡単で、「お客様の欲しい情報をアピールする」ことです。

炊飯器の話で言えば、しっかりヒアリングをしてお客様のニーズがわかっていれば、「この人は、とにかく美味しいご飯が食べたい人なんだな」ということがわかります。そうならば、「とにかくこの操作さえ覚えれば、毎日おいしいご飯が食べられるんです」という商品説明ができるようになります。そこにほんの少し魅力を増すように、+αくらいで、お客様が好きそうな、求めていそうな商品の機能を説明するだけで、お客様は十分に魅力を感じてくれます。

私が時計を販売していた頃にも、似たようなことはよくありました。ほとんど狂わないという機能を持った時計を販売していたのですが、お客様が求めるものがそんな機能よりもデザイン重視だった時には、いくら機能説明をしてもまったくお客様にはピンと来なかったのです。そんなことよりも、「このデザインかっこいいですよね」という一言の方が、100倍お客様の背中を押す言葉になっていました。

機能が多いほど、つい説明しなければいけないと思いがちですが、実はそんなことはありません。大事なのはやっぱり、お客様が求めていることを適切に伝えることなのです。

今日の質問です。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 坂本りゅういち 【発行周期】 日刊

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