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「朝鮮戦争」勃発なら日本の金融市場に悪影響。北から目を離すな

北朝鮮は16日、開城にある「南北共同連絡事務所」の庁舎を午後2時49分に爆破し、世界中に衝撃を与えました。事前予告はあったものの、突然緊迫感が増した北朝鮮情勢ですが、このまま韓国と戦争状態に突入してしまうのでしょうか。メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』の著者でコンサルタントの今市太郎さんは、万が一朝鮮半島で「有事」となれば、日本の金融市場にも大きな悪影響が出ると、投資家の視点から警告しています。

いきなり動き出した「北朝鮮」。半島で戦争になれば相場には大きな痛手

北朝鮮が、金正恩体制を非難するビラを北に向けて散布した韓国の脱北者団体と、文在寅政権を強く批難しはじめており、事前予告どおり南西部の開城にある韓国との連絡事務所を本当に爆破してしまうという暴挙にでています。

朝鮮人民軍総参謀部の報道官はさらに南北の経済協力事業を実施してきた金剛山と開城に部隊を展開すると表明しており、これが単なる挑発なのか本格的な戦闘から戦争へと発展することになるのかどうかに注目が集まり始めています。

連絡事務所爆破の第一報を受けて16日の東京タイムドル円は一時的に下落する動きとなりましたが欧州時間以降、とくにNYタイムは全くもってどこ吹く風で北朝鮮の状況を相場が憂慮しているという雰囲気は全く感じられていません。

ただ中国で感染者が拡大した新型ウイルスがいよいよイタリアや英国、米国に広がってはじめて株価暴落で大騒ぎとなった相場展開を見ますと北朝鮮問題も決定的な問題が事実として顕在化しはじめるといきなりリスクオフになる可能性は高く、ここからの北朝鮮の動向には相当な注意が必要になりそうです。

確実に姿を現しはじめた金正恩の妹の存在

新型コロナ禍の4月、金正恩が突然公の場から姿を消し、雲隠れ説、死亡説、替え玉登場説などいくつもの憶測が飛び交うこととなりました。それにともなって妹の金与正(キム・ヨジョン)が後継者になるのではないかといった見方が強まりましたが、金正恩の生存が確認されたことで一旦この話は消滅しかかっていました。

しかし今月13日、この金与正氏が突然登場し、連絡事務所の破壊を予告し、まんまと実行に移してしまったことからこの国の権力構造になんらかの変化が示現している可能性も出始めているようです。ここから先の北朝鮮情勢分析はさすがにFXのメルマガでは荷が重い状況ですが、我々がひとつ気にしてかなくてはならないのが今回の問題が北朝鮮と韓国の武力衝突になり、さらに戦争へと発展していくことになるのかどうかという問題で、これが現実のものになると金融市場に与える影響は想像以上に大きなものになるリスクがいきなり高まることになりそうです。

朝鮮半島で戦争勃発なら日本の金融市場には大きな影響

足元で北朝鮮が激怒しているのは金正恩体制を非難するビラを脱北者が散布し、それを文在寅政権が完全に容認したことですから、北朝鮮の攻撃の対象はあくまで韓国になりそうではありますが、韓国と戦争に陥れば当然米国が出てくることになるのは彼らもよく理解していますから、朝鮮戦争2.0というものが勃発したときにどこまで日米に影響がでることになるのかについても意識しておく必要があります。

北朝鮮は人口2600万弱ですが、北朝鮮人民軍と呼ばれる軍隊はたいした装備は保有していないものの、陸軍102万人、海軍6万人、空軍11万人も存在しており予備役が470万人、労農赤衛隊350万人、保安部隊が19万人とされており、事実上の男性皆兵状態となっていることから、装備面では圧倒的な優位性を誇るとされる韓国軍63万人をもってしても本格的な地上戦で北朝鮮人民軍が陸続きの韓国に押し寄せてくることになれば大混乱に陥ることは間違いなさそうです。

また北朝鮮はどれだけの性能があるのかは不明ですが洗車も3500両保有していると言われ、これがロシア製の一定の戦闘能力をもったものであるとした場合、長期の戦闘は維持できないとしても一時的には相当激しい応酬が繰り広げられることは覚悟しなくてはならなくなりそうで、朝鮮半島で戦争が始まるとかなり大きな問題になりそうな状況ですし、金融市場もいきなりリスクオフで株も為替も売られる厳しい展開が予想されます。

中でももっとも危惧されるのが北朝鮮が核兵器を利用するに至った場合で韓国内に核弾頭を積んだミサイルが着弾するようなことになれば極東の地政学リスクから一気に世界的なリスクへと発展することも予想されます。

米中露ともに戦争にかまけていられる状況ではない

米国は韓国が危機的状況になれば何等かの手段を講じることになるのでしょうが、折しもコロナ禍で連邦政府の負債は過去最高の23兆ドルにまで膨れ上がり年末には28兆ドルにまで膨張しようとしているわけですから冷静に考えれば他国と戦争などしている場合ではなく、隣接国として北朝鮮に接する中国も北朝鮮を作ったロシアも経済的には同様の状況であるため各国ともに北朝鮮を抑制させる動きに出るであろうことは容易に想像できます。この3国がどうにかして北朝鮮を抑止できるのかどうかにも注目が集まるところです。

しかし北朝鮮側がやる気満々で対峙した場合、あまり考えたいことではありませんが、米国や日本に対してもエスカレートして核攻撃を行うリスクはもちろん残りますので油断は禁物です。さすがにそこまでの暴挙に出ればもはやこの国は存続できなくなるであろうとは思いますが、窮鼠猫を噛むという発想から言えば何をしでかすかわかりません。(メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』より一部抜粋)

image by: Alexander Khitrov / Shutterstock.com

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