米黒人差別事件から1カ月。全米抗議デモでコロナ感染拡大が現実に

2020.06.29
by tututu
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米中西部ミネソタ州で白人警官の暴行により、黒人男性ジョージ・フロイドさん=当時(46)=が死亡してから25日で1カ月が経過した。事件を契機に、全米各地で抗議デモが発生し、多くの市民がデモに参加した。それによって懸念されたのが、抗議デモ参加による新型コロナウイルスの感染拡大だ。1カ月が経ち、数字としてその影響が明らかになってきた。

新型コロナウイルス感染者が250万人を越えた米国

米ジョンズ・ホプキンス大学によると、米国の新型コロナ感染者数は29日6時時点で250万人を超え、死者数は12万人に達していて、全米50州のうち26州で感染ペースが拡大しているという。

事件直後、デモは一部が暴徒化して州兵も動員されるほど大荒れとなったが、その後はおおむね平和的に行われ、規模は縮小しているものの、今も続いている。終息の気配はなく、デモは長期化の様相を見せている。

デモがコロナ感染を拡大させた?

抗議デモは多くの人たちが社会的距離を十分保つことなく参加していたため、当初から新型コロナウイルスの感染拡大が心配されていたが、実際はどうだったのであろうか。

南東部サウスカロライナ州では、州都コロンビア周辺のデモ参加者の間で、少なくとも13人の感染が確認されるなど、デモをきっかけとした感染拡大の懸念が現実になってしまった形だ。

当局者や専門家はデモきっかけによる感染拡大を否定

一方、別の見方もある。新型コロナウイルスの感染者は増えているものの、デモの頻度や規模を考えれば陽性率は高いとはいえず、むしろ低いというのだ。

米北東部マサチューセッツ州では、デモ参加者に行った検査で陽性率は約2.5%と、州全体の陽性率1.9%と大きく変わらないことをベーカー知事が明らかにしている。

また、当局も315都市において、デモ発生前と比較して、感染症例が急増した事実は特に見られないということを発表した。

同時期から部分的に経済活動を再開した州も多いため、感染者増加を抗議デモと直接的に結び付けることは難しいかもしれない。しかし、人種差別に対する国民の関心は高く、コロナ禍で時間的余裕があることから、デモは長期化すると見られている。

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